IPO
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「上場ゴール」が社会的な問題としていよいよ注目されてきた。

株式公開企業の創業者や上場前に出資したベンチャーキャピタル(VC)らが、故意に実態を上回る業績見通しを出すことで、初値をつりあげてキャピタルゲインを獲得することで、市場関係者からも批判が相次いでいた。

この「上場ゴール」について、政治の舞台でも取り扱われる事態にとうとう発展してきた。というのも、このほど、民主党の大久保勉参議院議員が、上場の審査にあたり主幹事証券などの体制に問題ないか確認する実態調査を、金融庁に求めることが明らかになった。

大久保参院議員は、モルガン・スタンレー証券でマネージング・ディレクターを務めた。2012年の10月に発足した野田第3次改造内閣では財務副大臣も務めたを務めた経歴も持ち、IPOの質を上げなければ投資家が市場から離れてしまうと同氏は警告を発している。


gumi など上場直後の株価下落で問題視される5社

今回、大久保参院議員が調査を求めているのは、gumi <3903> 、ジャパンディスプレイ<6740>、OATアグリオ <4979> 、ANAP <3189> 、フルッタフルッタ <2586> の5社。中でも、gumi は昨年の2014年12月18日の上場してから2カ月半しかたっていないにもかかわらず、業績の下方修正を発表したことから、失望を招き、株価も急落した経緯がある。注目のIPO銘柄としてかかっていた期待を裏切ってしまった格好だ。

調査対象となっているほかの企業としても、ジャパンディスプレイは、2014年3月19日の上場からすぐに、株価の大幅下落を経験した。同社はもともと、日立製作所 <6501>、東芝 <6502>、ソニー <6758> らが中小型液晶パネルの製造会社として設立したもので、産業革新機構も2000億円をジャパンディスプレイに出資した。

この大手の日系家電メーカーと産業革新機構が共同で設立した液晶パネルメーカーの公募価格の仮条件は900〜1100円に設定されていた。ところが、高価格帯の注文が集まらず、仮条件の下限となる900円の公募価格に決定した経緯がある。さらに、いざ上場日になってみると、初値はIPO価格を15%も下回る769円に落ち着くことになってしまったのだ。調査の対象として名前の挙がったほかの企業でも、状況は似ている。


説明責任を問われる証券会社と取引所

さらに、大久保参院議員の調査にあたって関係者になるのは、「上場ゴール」銘柄だけではない。新規上場の過程には、野村ホールディングスの野村證券や、東証マザーズを運営する JPX ももちろんかかわっており、審査をする立場であることから無関係とはとても、いえそうにない。

上場にあたっては、証券会社による審査が行われる上に、上場を申請してからも取引所の審査が待っている。gumi をはじめとした5社もこうした審査をいったんはクリアしてきた。しかしながら、上場から間もなく、業績の下方修正を発表するなど、適正とは言えない事態が相次いだことから今回の調査要請につながった。

すでに明らかになっているところでは、引き受け会社の審査が十分だったか、業績の下方修正を予見できなかったか、あるいは利益相反がなかったかについて、5月上旬をメドに報告するよう求める見通しだ。関係者らがどのように調査に向き合うのか、今後の対応に注目が集まる。(ZUU online 編集部)