日本銀行は4月30日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2%の物価上昇率の目標達成時期について、これまでの「15年度」から「16年度前半ごろ」に変更させた。日銀の黒田東彦総裁はこの日の記者会見で、「後ずれは事実だが、物価の基調は着実に改善している」との考えを示し「追加緩和は必要ない」と述べた。

展望リポートでは、2015年度の消費物価指数の伸び率(生鮮食品と消費増税の影響を除く)の見通しについて、1月時点の1.0%から0.8%に引き下げた。また、16年度は2.2%から2.0%に下方修正した。今回初めて示した17年度については、前年度比1.9%とした。

足下の消費に弱さがみられることや原油安の影響などから物価の見通しは「やや下ぶれしている」となった。その一方で、国内需要が堅調に推移して輸出も緩やかに増加する見通しであることから、経済情勢は15年度から16年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想した。

黒田総裁は会見で、賃金の上昇が続いていることなどから「物価基調は高まっている」と強調し「経済の見方は前回から変わっていない」と述べた。また、「追加緩和をする必要はない」との考えを示した上で「物価の基調が変われば躊躇なく政策の調整を行う」と、これまでと同じ表現を繰り返した。(ZUU online 編集部)

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