太陽光以外の再生可能エネルギーの見通し
固定価格買い取り制度が開始されてから昨年11月までの間に、再生可能エネルギー全体の伸び率は7割にとどまったが、太陽光発電について見てみると3.6倍に急拡大している。太陽光が再生可能エネルギー事業全体の9割を占めるまでに至り、導入には成功したが、いかんせんコストが高い。この先買い取り価格が徐々に引き下げられるとなると、採算を取るのは容易ではないだろう。
今後、太陽光エネルギー企業は生き残りのため何ができるだろうか。単独での導入は果たしたので、「今後は欧州にならい、地域密着型のエネルギー供給システムを拡大することや、複合化により利益と安定化を確保し、組み合わせを広げていくことだ」と、日本再生可能エネルギー総合研究所の北村代表は指摘する。大学関係者も、パネルの設置場所の多様化、地方にある再生エネルギー生産所から、需要の多い都市への送電システムや設備の共同開発・運営、蓄電技術、再生エネルギー電源の電力の消費者を増やす戦略など、可能性は様々だと話す。
今後実施したいビジネスのトップは再生可能エネルギー―環境短観
3月2日に発表された『環境経済観測調査』(平成26年12月調査)の結果によると、環境ビジネスは好調な見通しだ。現在環境ビジネスを実施している企業のうち27パーセント以上が、今後『再生可能エネルギー』(太陽光発電システム及び関連機器等を除く)を実施したいと回答している。
業種・企業規模に関わらず、実施したいと考えている環境ビジネスのトップに『再生可能エネルギー』が挙がった。ということは、現在、環境ビジネスを実施している企業の4分の1以上は、今後、太陽光発電以外の何らかの再生可能エネルギー事業(風力発電/水力発電/地熱発電/太陽熱利用/バイオガス発電/中小水力発電等の装置製造及び新エネ売電ビジネス等)を展開する意向を持つということだ。
現時点で、太陽光発電以外の再生可能エネルギーはビジネスとしてあまり進んではいないが、今が出発点なのかもしれない。
また、『環境経済観測調査』では、10年先にわが国で発展しているであろう環境ビジネスについても回答を求めている。1位は「再生可能エネルギー」で、回答者の25パーセント以上がこのビジネスだと答えている。
一方、太陽光発電システム関連は、回答時点で発展していると考えるビジネスの3位(回答者中の比率13.5パーセント)、半年後に発展していると考えるビジネスでは4位(8.5パーセント)、10年先には上位5位にも入っていない。この結果からは、徐々に太陽光発電以外の再生可能エネルギーが台頭してくる様子がうかがえる。
ちなみに、同調査では2014年12月当時、環境ビジネスを実施している企業の環境事業への業況DI(ディフュージョン・インデックス)は「22」だった。
全ビジネスを対象とした業況DI「11」や日銀短観の業況DI「5」を上回る。かつ、半年先のDIは「23」(全ビジネス「12」)、10年先のDI「25」(全ビジネス「7」)と、将来の景況感が全ビジネスと環境ビジネス企業との間では対称的なベクトルとなっている。
国民の負担を抑えながら、再生可能エネルギー事業を拡大させる方法は見つかるだろうか。今後の展開が注目される。(ZUU online 編集部)
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