―アセアン地域の医療系機関は規模が大きく、経済的な可能性も大きいと私自身は思っています。日本だと色々な規制があって、ファンドを作るのは難しい部分もありますが、アジア・アセアン地域のヘルスケア関連ファンドやリートなどを組成する上で何か課題はあるのでしょうか?

朝倉 :投資信託に関しては大きな規制はあまりありませんが、アナリストやファンドマネージャーなどの運用者が、いかに優良な銘柄をピックアップできるかが鍵でしょう。『ファンド オブ ザ イヤー2014』で最優秀ファンド賞を国際株式型で受賞した三井住友アセットの『椰子の実』というファンドは、アジア地域の銘柄でも自前で運用しています。香港やシンガポールに拠点を持ち、日本からもファンドマネージャーが調査にいきます。

アジア、アセアン地域での自前の運用は、当然日本以上にどれだけの人材を確保できるのかが重要なポイントです。自前で難しい場合は、現地の運用会社との提携や買収などの手段もあるでしょう。最近ですと、日興アセットマネジメントが海外のシンガポールの会社を買収し、アジアに進出しています。

今まではアジアやアセアンの運用会社が運用するファンドを日本に持ち込み、日本の投資家に販売していました。これからは、逆に現地の資金を取り込むために、それらの地域に投資する体制作りができるかどうかがポイントです。

このような戦略は、ブティック型の運用会社でもできると思います。大手の運用会社で目先の収益を求められるところは、時間軸が長くとれません。資産運用業は、資産の積み上げのビジネスなので、1年や2年で利益が急激に上がるわけではありません。その時間軸をどれだけ許容できるかが重要です。

―あるファイナンシャルプランナーによれば、ブティック型の運用会社が、たとえアジアのヘルスケアではなくとも、株式を運用するファンドを設定すれば絶対に買う、という話でしたので、実際にブティック型のアジア関連ファンドの需要は私もあると思っています。ですから今後に期待したいですね。