リニア世界最高速度に…期待の関連銘柄をチェック

4月21日に有人走行鉄道で世界最高速度である603km/hを記録したリニア新幹線。2027年の東京~名古屋間の開業に向け、これを運営する東海旅客鉄道(JR東海) <9022> 以外で恩恵をあずかれそうな関連銘柄をチェックしておきたい。

新技術満載のリニア用車両

リニア新幹線は従来の鉄道とは異なり、超電導磁石の力で車両を浮上させて走るもので、リニア専用の車両を製造する必要がある。このリニア新幹線の車両製造を担当しているのが、(1)日本車輌製造 <7102> と(2)三菱重工業 <7011> だ。

特に日本車輌製造は、JR東海が株式の50.1%を保有する子会社であり、東海道・山陽新幹線のN700系の製造も担当している。さらに、日本唯一の浮上式リニアとして愛知県で営業運転をしているリニア用車両の製造も担当していることから、今後の試験用車両や営業用車両の発注も、日本車輌製造が主に請け負うのは間違いない。

リニア新幹線の心臓部となる超電導磁石は、(3)東芝 <6502> が1999年からJR東海と共同で開発を進めており、既に実験車両に搭載しての実験を行っている。

また、車両の推進に使うために地上に設置する電磁石コイルも、東芝が製造し既に山梨県のリニア実験線で使用した実績があり、今後の路線建設時にも使われることになるだろう。

また、航空機用内装部品のメーカである(4)ジャムコ <7408> は、リニモ用の浮上装置構体部の製造を担当している。リニア新幹線が東京-名古屋間に開通する際は、約290kmの長さにわたって電磁石コイルを設置し、全ての営業車両に浮上装置を設置しなくてはならない。よって1社だけではなく数社が製造を担当することが予想される。

例えば、産業用リニアモーターで実績があり、新幹線車両や鉄道車両に経営資源を投じている(5)日立製作所 <6501> も有力な発注先と思われる。

また、モータや制御装置を始めとする鉄道用電装品の製造で実績のある(6)東洋電機製造 <6505> も、リニモのリニアモーターや新幹線用の主電動機(モータ)、補助電源装置で実績があることから、今度リニア車両の製造を担当する可能性がある。

長大トンネルは実績のあるゼネコン

リニア新幹線のルートは、南アルプスを長大トンネルで貫通する直進ルートが採用された。また、東京と名古屋の都心部は大深度にトンネルを掘るルートが計画されている。これらのトンネル採掘技術に長けたゼネコンをリニア関連銘柄として列挙する。

例えば(7)大成建設 <1801> は、トルコのボスポラス海峡地下鉄トンネル工事で、高い技術力を活かして60mの海底への沈埋トンネル敷設を担当した。また、3月に開業した北陸新幹線長野~金沢間で最長を誇る飯山トンネル(全長22.251km)の建設には、(8)大林組 <1802> が施工業者として係わっている。

そして、現在、JR東海が名古屋駅で建設している高層ビル「JRゲートタワー」の建設を入札により大成建設とともに勝ち取った(9)鹿島 <1812> も、リニア新幹線関連の建設工事を担う施工者として有力である。

品川、名古屋駅周辺のオフィスビルを持つ企業は?

リニア新幹線は起点の品川駅と終点の名古屋駅の間を約40分で結ぶ予定である。それゆえ、両駅間が通勤圏になることが考えられ、品川駅、名古屋駅周辺にビルを持つ不動産業者も、地価や賃料の上昇の恩恵にあずかることが予想される。

例えば、(10)三菱地所 <8802> は品川駅に隣接する港南地区にオフィスビル「品川クリスタルスクエア」を保有するとともに、名古屋駅前に現在建替中で2015年10月竣工予定の「大名古屋ビルヂング」も保有する。

名古屋駅周辺に百貨店や商業施設を多く有する(11)名古屋鉄道 <9048> も、2015年3月23日に中期経営計画を発表し、従来の商業施設に加え、オフィスやレジデンスも含めた再開発をリニア新幹線が開業する2027年に向けて行うという方針を発表している。

北陸新幹線の開業前に、金沢の商業地の地価は10%程度の地価上昇を見せた。リニア新幹線の開業が近付くにつれ、名古屋駅周辺の地価も同じように上昇することが予想され、名古屋駅周辺にオフィスや土地を持つ企業に注目が集まるだろう。

リニア技術の海外輸出を狙う総合商社

安倍内閣はインフラ輸出の一環として、リニア技術に代表される高速鉄道技術を一体として海外に輸出しようと目論んでいる。そのために設立されたのが、IHRA(一般社団法人 国際高速鉄道協会)である。IRHAの事務局はJR東海が担当しており、リニアを建設・運営するJR東海が高速鉄道技術の輸出推進に主導的な役割を担っているようだ。

IRHAの正会員には(12)三菱商事 <8058> 、(13)三井物産 <8031> 、(14)住友商事 <8053> 、(15)丸紅 <8002> といった総合商社が名を連ねており、リニア技術の海外輸出が決まればこれらの総合商社もリニア関連銘柄として名前が上がることになる。

超伝導やワイヤレス電力伝送を研究しているベンチャーが狙い目か?

リニア関連産業は自動車や航空機産業と同じく裾野の広い産業といえる。自動車関連では、自動運転技術に関して大手との提携を発表したベンチャーの株価が一気に急騰した例がある。リニア関連でもこのようなベンチャー企業の株価があるニュースをきっかけに急上昇ことが考えられる。

リニアに密接な関係を持つ超伝導やワイヤレス電力伝送を研究しているベンチャー企業は、株価が急騰する可能性という視点では狙い目かもしれない。

*当記事は一般情報の提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。(ZUU online 編集部)

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