日本が負けているのは米国の「尖った一人」

だから21世紀の人っていうのは、日本国が20世紀に作った、優秀な人を大量にというのではなく、一人でいいからスゲー奴がほしいと、尖った人間が一人、これが勝負なんですよ。日本がやられている領域を見ると、全部一人の人間にやられているんです。

アメリカにやられているという人がいますけれども、間違いです。アメリカも、いわゆるベイエリア、シリコンバレーに加えてサンフランシスコですよね、今は。ベイエリア以外は全部ポシャっています。今から2〜30年前っていうのは、アメリカは3つのところがハイテクゾーンと言われてました。ボストン128号線、ノースカロライナ、リサーチ・トライアングル、それとシリコンバレーです。今そういうところ行ったら見る影もありません。

つまり、アメリカに負けているんじゃないです。こういうおかしな人間が揃っているベイエリア。そのうちのかなりの人は、アメリカ生まれでもないんです。あるいは移民の子、セルゲイ・ブリンなんていうのは、Googleの共同創業者ですけれども、ロシアの移民の子ですよね。スティーブ・ジョブズもシリアの移民の子ということでね。お父さんは今シリアに戻っちゃっていますけれども。そういうことで、変わった人間を作ろうと思うと、変わった種、これが重要だということに気がつくわけですよ。

20世紀の大量生産大量消費時代っていうのは、均質な人たちがたくさんいたほうが勝つと。軽薄短小ってこうやったら軽薄短小。同じ方向でドゥ、モア、ベターという比較級で言われているやつは日本強いんですけれども、あっちだよっていうようなやつは弱い理由は、あまりにも同質性が強いということです。

イーロン・マスクというのは、南アフリカ共和国で生まれて、アメリカに流れ着いた男です。今アメリカで最も、ある意味起業家として頑張っているというか、注目されているのはイーロン・マスクですけれども。PayPalの創業に関わって、そのあとテスラモーターズやって、また今度はスペースXやって。何回も着陸に失敗していますけれども、NASAから受注していますよね。この人は、あまりにも性格が悪いけれども、世の中の秩序を壊してくれるということで、Google のもう一人の共同創業者でもあるラリー・ペイジ氏が、自分の財産は全部こいつに渡すと。自分の息子には渡さないと言っているんです。理由は、秩序を書き換えてくれる人間は、息子じゃなくてこっちだと。これもすごいことですよね。そういうものが賞賛されるというか注目される時代になっている。