大塚家具、事業承継、大切、同族経営、

(写真=Thinkstock/Getty Images)

連日ニュースにもなっている、大塚家具での御家騒動。創業者の大塚勝久会長から二代目に指名された長女の大塚久美子社長との間で起きたいさかいは、家族や会社組織の枠を超えて株主を巻き込むまでに発展した。

事業継承における8つポイントとは

大塚家具は、父の大塚勝久氏により1969年に創業。以降、独自の販売方法で家具業界のトップに君臨し、日本の家具業界を牽引してきた。だが2000年代初頭からニトリやイケアなどの量販家具店が乱入し、業界内での競争が激化。大塚家具の売上も下がり、2000年代終盤には赤字に転落した。

そんな状況下、2009年に銀行勤務を経て、長年大塚家具の栄枯盛衰を目の当たりにして育った勝久氏の長女の大塚久美子女史が社長に就任した。勝久氏は久美子女史を子どもたちの中で一番評価し、目の中に入れても痛くない存在だった。久美子女史も、父勝久氏の期待に応えて2010年末には経営を黒字に転換させた。ところが、昨年7月に勝久氏が再び社長に復帰することになった途端、経営は再び赤字に転落。そこで、今年1月に再び久美子女史が社長に就任したのだが、これに勝久氏が異を唱えたのだ。その上「取締役会から久美子氏を外す」と提案し騒動が世間の知るところとなった。

ここで押さえておかなければならない継承事のポイントを8つ列記しておく。

① 継承事は親子でもあっても必ず確執が起こると心得るべき。

② 創業者は何をやっても許される。だが、一旦継承したら継承者のやり方に任せ口出しをしない。

③ 創業者は感情論と勘で経営しても良いが、継承者は合理的に理路整然と経営をなすべき。

④ 創業者は、子飼いの旗本社員たちを説得し、継承者に従わせるか退任させるべき。

⑤ ビジネス・モデルやビジネス・スタイルも時代とともに変遷を重ねていること理解する。

⑥ 継承劇を御家騒動にせず、「株式の継承」と心得た上で、継承者に議決権を継承する。

⑦ 創業者は、継承者に自力で経営権を奪い取らせるぐらいの気概をもたせる。

⑧ 大切なことは会社を存続させること。

もっとも迷惑を被るのは顧客

継承にあたってのテクニカルなポイントは、他にも多々ある。例えば相続税対策などで生命保険を活用するとか、諸々である。だが、今回は技術的なことは置いておく。

歴史を振り返ってほしい。武田信玄しかり織田信長しかり徳川家康しかり。継承を上手く為しお家を強くした後継者は、皆父を踏み越え当主の座を奪い取った者ばかりだ。今回の大塚家具の騒動も、そういう意味では結果的に正解だ。大塚親子は世間に恥を晒したが、本気で争ったことで株主は後継者の久美子女史を選択し、会社としても大きく舵を切ることができた。

こういう状況の会社は、大抵の場合、社員同士の間もそれぞれの派に別れ、派閥争いを起こす。それは、経営には大きなマイナスへと働く。古参の創業者旗本社員たちは、継承者につく若い社員たちに理不尽な圧力をかけ、現場レベルでの経営判断にも悪しき結果を招く。そしてその結果、迷惑を被るのは顧客である。