2人の熱い想いだけは変わらない

継承事で、創業者が陥りやすい一番の盲点は、創業者だから許されていたことは、継承者には許されない、ということを創業者が理解することだ。継承者は、とかく色眼鏡で見られるので、理不尽な思いをすることは多々ある。だから継承者は頑張る。だが、そこを理解せずに叩いてしまうと、継承者はモチベーションを喪失してしまう。その点、久美子女史の不屈の精神は、大いに評価すべきだ。自分の父を糾弾しなければならないことは、父の人生自体をも否定することになりかねない。彼女の苦渋の選択と行動を、創業者勝久氏は理解すべきだ。どこの世界に親を追い詰めたいと思う子があるものか。

それでもあのような騒動を起こしたのは、会社を何としても存続させたい、という強い志が両者ともにあったからに他ならない。そこには、形は違ってしまったが父の勝久氏にも共通している。それだけは、社員たちにとっても救いだろう。

新生大塚家具が再生するためには

株主総会で出た結果を受け、久美子女史を社長となることが決まった。父勝久氏もそれを真摯に受け止めた。

今後、勝久氏がするべきことがいくつかある。もっとも大事なのは、これ以上社内の不協和音を広げるのではなく、自ら率先して久美子社長を経営者として認め、助けていくことである映画「ゴッドファーザー」で、父ゴッドファーザーが子分たちに、『息子のマイケルの指示に従え』と説いて回っていたシーンが印象的だったが、まさにそれが必要なのだ。それでも久美子社長に抗う古参の旗本社員は、勝久氏自ら説得し退社させるべきだ。

そして、久美子社長も、創業者である父の大塚勝久氏があってこその大塚家具であることを社員に知らしめ、創業、黎明期においての勝久氏の功績を認め、社員たちにもそのことを認識させることが大切だ。そうすれば、大塚家具は新生大塚家具として立派に生まれ変わるはずである。 (ZUU online 編集部)

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