帝国データバンクがまとめた「円安関連倒産」動向調査で、円安の影響を受けた関連倒産は今年4月で35件あり、13年1月以降16カ月連続で前年同月比を上回った。13年1月以降の累計は634件に上っており、同社は「依然として高水準が続いている」と分析、「中小・零細企業にとって、さらなる円安の進行は死活問題となりかねない」と指摘している。

4月の円安関連倒産は35件で前月の48件より13件減少したものの、前年同月比では12件増加した。調査開始の13年1月以降の累計は634件で、倒産企業の従業員数も合計1万2260人を超えた。

4月の動向を業種別にみると「卸売業」が16件と最も多く、4割を占めた。次いで「運輸業」の9件、「製造業」の8件となった。卸売業では繊維・衣服・化繊繊維が7件と多く、製造業では食料品・飼料・飲料製造が3件、出版・印刷関連産業が2件だった。円安による仕入れコストの上昇を受けて行き詰まるケースがみられた。

負債規模では負債5億円に満たない中小・零細企業が全体の9割を占める結果となった。「1億円以上5億円未満」が16件が最も多く、ついで「5000万円以上1億円未満」の9件、「5000万円未満」の6件だった。

4月の負債トップはスポーツシューズ卸のトライデント(東京都)の約40億円。ベルト・皮革小物製造販売の岩﨑(東京都)の17億800万円がこれに続き、繊維・アパレル関連で大型倒産が目立った。いずれも急速な円安に伴う仕入れコストの増加が収益を悪化させた。

帝国データバンクは、調査のまとめとして「4月の全国企業倒産件数は前年同月比14.9%減の730 件にとどまり、全体の倒産減少を受けて、同月の円安関連倒産も前月比を下回った。一方、前年同月比較では増加が続いており、増加基調を強めつつある」と分析。さらに「直近2年超の円安局面で経営体力を奪われてきた多くの中小・零細企業にとって、さらなる円安の進行は死活問題となりかねない」と指摘する。

特に輸入依存度の高い繊維・アパレル、食料品関連の業者への影響が大きく、現在の円安傾向は当面続くと見込まれているため、今後も引き続き「円安関連倒産」は高水準で推移する見込みという。為替相場の推移次第では全体の倒産件数を押し上げる可能性も十分あるという。(ZUU online 編集部)

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