インターシップ制度の新たな役割とは?

話は変わるが、一方で今年の学生たちは、インターンシップを経験しないと就活戦争に勝てないという危機意識が強かったという。しかも今年のインターシップは、本来の意味である“会社のために何ができるかを体験する”より、“企業が学生のために用意したカリキュラムを消化する”という印象が強かったようだ。

しかし、単にカリキュラムを消化するだけのインターシップが、企業の採用活動にとって効果を生むとは考えにくい。では、採用に資するインターシップとは、どうあるべきなのだろうか?

インターンシップ制度をいかに人材採用に活用するか、これはとくに中小企業の人材採用戦略にとって大切なポイントとなる。人材獲得戦国時代といわれる昨今、大手の企業に負けずに優れた人材を獲得するためには、中小企業だからといって諦めるのではなく、「勇気」と「志」、それと臨機応変で機敏な「対応力」を身につけ自社のブランド化をはかることで、学生たちが魅力や将来性を感じられる企業になるべきだし、そのための努力をするべきだ。

そのための有効な方法として、インターンシップ制度を活用すればよいのではないか。学生たちと心を通わせることができる機会としてインターンシップ制度をとらえれば、一人ひとりの学生の良さ、持ち味を引き出し、自社のために何ができるかを見極めることができるからだ。
大手の企業にはかなわないと思うのではなく、中小企業だからこそ大手にはできないことを実践すればいい。ロングスパンでのインターンシップは、中小企業にとって優秀な学生ではなく、役に立つ本気の学生を見極め創り上げるための、とても大切な人材確保戦略であると確信している。

そのためにも中小企業の人事担当者は、我が社に入社するメリットは何か、何が魅力なのかを十分に伝え、意気盛んな学生たちの欲求や希望を触発するインターシップ戦略を打ち出すべきだろう。インターンシップに参加したことで、大手を蹴ってでもこの会社に入社したい、そう思ってもらう戦略を綿密に立てるべきだ。

例えば、大手の企業では歯車の1つでしかないが、自社に入社すれば新卒学生でも責任のある大きな仕事を任せられ失敗の中で将来の自分を見出せると伝えるなど、中小企業ならではの良さをアピールできるだろう。若者たちは、皆それぞれ夢や将来設計を持っている。その夢や将来像に少しでも近付けることができれば、それが学生たちのモチベーションを刺激し、大手を蹴ってでもこちらに入社したいと思ってもらえるはずだ。

誤解してはいけないのは、だからといって学生に媚びて、下手から行くのではなく、本気を出せるやる気スイッチを入れることができる環境があるということを伝えることだ。それができれば、人材獲得戦争でも、大企業を負かし勝てるはずだ。そのためには、①求める人材像を明確にし ②人材を見抜く選考力を持ち ③求人方法 等に気を配ればいい。  (ZUU online 編集部)

恩田将葉(おんだ・しょうよう)ジャーナリスト、文士。米国サンフランシスコ州立大学(SFSU) 国際関係学部を朝鮮半島問題専攻で卒業。現地法人経営後帰国。記者、編集者を経て、出版社株式会社ぴいぷる社と政財界出版社、夕刊紙『内外タイムス』を発行する株式会社内外タイムス社社長就任。現在はフリーランスとして執筆活動。男手一つで二人の子供を育てる。

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