消費者のニーズの変化にもいち早く対応

またデフレ脱却に伴う高級志向の高まりにもいち早く反応し、単に安価な価格帯だけでなく、高品質な商品の展開もスタートしている。とりわけ、CMでも訴求している比較的高価格のポケットコイルのマットレスなどに力を入れている。というのも「ニトリにしては高価格だが、他社に比べると安い」を売りにして利益率の高い商品の販売を狙っているからだ。高価格帯の商品を増やすことは需要に応えるという意味と、円安によるコスト高をカバーするという2つの意味がある。このように社会の変化に機敏に対応している点が業績を伸ばしている理由と言えよう。片や、大塚家具の創業者が従来の販売スタイルにこだわるのと対照的なところが興味深い。

さらには、銀座エリアのプランタン銀座に4月から出店するとの情報が日経新聞に掲載された 。プランタン銀座といえば女性客に人気の店舗であることから、若い女性からの関心を獲得するための戦略のひとつなのだろう。また銀座は外国人観光客が多い地域でもあるため、海外展開を視野に入れ、旗艦店としての役割と外国人の反応を見るというアンテナショップ的な役割を担わせるつもりだろう。最近では雑貨にも力を入れているので、観光みやげとして「ニトリ」のブランドが世界中に広まれば海外展開に弾みもつく。そんな意味で銀座での反応や売上は今後注目していきたい。

最後に、現在は北海道を地盤に全国で約300店舗を展開しているが、似鳥社長は2032年までに国内外で3,000店舗まで増やすと明言している 。目標を実現するためには海外進出が不可欠だが、年間150店舗ずつ増やしていくことは容易ではない。それでも似鳥社長は必ず達成すると言い切る。社会の変化に対応する柔軟性を持ちつつ、ゴールを妥協しない覚悟が同社の成功に結びついているのだろう。高品質で低価格というブランド価値を築き、世界中でニトリの店舗が見られる日のくることが期待される。

(ZUU online 編集部)

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