軽視される日本市場

米マクドナルドによって発表されたグローバルでの業績回復に向けた再建計画では、フランチャイズへの店舗売却、費用削減などが並ぶなか、事業部門の再編の詳細も明らかになった。

これまでは、米国、欧州、APMEA(アジア太平洋・中東・アフリカ)と地域別に区分されてきた事業部門であるが、今後は、グローバルの営業利益のうちの40パーセント超を稼ぎ出す『米国市場』、その他の40パーセントを占める先進国中心の『国際リード市場』、10パーセント程度であるが高い成長が見込まれる『高成長市場』、そして、その他である『基礎的市場』に区分される。

国際リード市場には、オーストラリア・カナダ・フランス・ドイツ・英国が、高成長市場には中国・イタリア・ポーランド・ロシア・韓国・スペイン・スイス・オランダが含まれる。そこに日本の名前はない。

米マクドナルドが日本市場を軽視するのも無理はない。日米のマクドナルドIR資料によると、日本は店舗数でいえば米国に次ぐ第2の市場であるが、日本マクドナルドHDの業績がピークであった2008年前後でもROEは10パーセント以下と、米国企業のROE平均を下回っていた。まして現在は不祥事で赤字転落している。そして、日本市場軽視を何よりも象徴するのが、店舗数増減である。2008年から2013年にかけて、マクドナルドの店舗数が減少した市場は、世界で2カ国、日本とスウェーデンしかない。


「本気」の支援が見込めない中、日本マクドナルドは…

日本マクドナルドHDの株式の半分を、マクドナルド・グローバル(マクドナルド・レストランズ・オブ・カナダ・リミテッドとマクド・エー・ピー・エム・イー・エー・ホールディングス ピーティーイー・リミテッド)が握る。今後は、日本市場での投資は抑えられ、日本市場でキャッシュが得られても他の成長市場へ投下されるだろう。日本マクドナルドHDには、最小限の投資で、できる限りマイナス要因を排除することしか求められていないのだ。

米マクドナルドからの“本気"の支援が見込めない状況のなか、日本マクドナルドHDは、今回発表したビジネスリカバリープランをどこまで実行できるのであろうか。そして、顧客やステークホルダーの信頼を再構築することができるのであろうか。(ZUU online 編集部)

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