建機大手のコマツは、ロボットや自動運転車両を開発するベンチャー「ZMP」への出資を発表した。ZMP社は自動車センサーシステムや、自動運転技術開発プラットフォームRoboCarの開発を行っている会社。コマツは建設・鉱山機械の自動化を進めており、ZMP社と資本提携を図ることで、自動運転技術の革新を進めていく方針だ。


コマツが進める自動化戦略

東日本大震災における復旧工事や、道路・小学校といった公共施設のインフラ改修工事の増加により、建設現場での人員不足が深刻な状況となっている。人材不足を背景に、賃金も上昇傾向だ。長期的には少子高齢化により生産年齢人口の減少も予想されており、今後人件費の高騰がさらに進むだろう。業界にも危機感が広がっているが、これらの課題を一挙に解決する方法のひとつとして、コマツが進める「スマートコンストラクション」がある。

コマツが進める「スマートコンストラクション」の概要はこうだ。GPSやセンサー、そしてドローンを活用して工事車両の稼働を自動で管理し、撮影した映像と設計図面を合わせ3Dデータに加工する。さらにこれらの情報を収集、分析し、工期の短縮化、コストの削減、そして少ない人員での工事を可能にする。

コマツは2001年からGPSを活用した車両の稼働状況の把握や、保守管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」をすべての建設機器に導入している。また2008年には、ダンプトラックの無人運行システムの商用化を実現する(鉱山使用に限定)など、積極的なICT活用を進めている。

今回のZMP社との資本提携は、この「スマートコンストラクション」の流れの一環だ。鉱山のような単純なルートを走行するダンプトラックと異なり、建設現場は非常に複雑だ。これまでのコマツの建設機器は、主にGPSで操作を制御するといったものだった。そこにZMP社が得意とするセンサーやカメラを使った状況把握システムを組み合わせれば、これまで以上に精度の高い自動運行システムが可能となる。


建設現場は完全無人へと進んでいくのだろうか

コマツの無人建設機器等が建設現場に導入されれば、ある程度の人員削減は可能だ。しかし、完全無人化への課題はいくつかある。

まずはコストの問題だ。無人機器を導入しても、人件費よりも高額になってしまっては本末転倒である。価格を安価にさせるには量産体制に入ることが必要だが、まだまだ時間がかかりそうだ。また、無人機器を導入した作業効率の改善は、相当程度の水準が求められる。この点に関してコマツは、スマートコンストラクションの導入により作業効率は従来の約4〜5倍に上がると予想している。これが本当なら、無人化への道は大いに開けるだろう。

無人化が進めば、各建設現場での省人化はもとより、危険な地域での活動も可能になる。さらに熟練者による監視・遠隔指示により、ノウハウも引き継げる環境ができあがる。国内の建設現場の作業者不足が解消されると同時に、遠隔操作が可能になれば世界に売れる商品にもなるだろう。

今後も完全無人化ではなくとも、できるだけ少人数で建設現場が回るような支援技術の開発が活発化していく。そのときには、いずれ日本にいながらにして海外のビルを建設するといったことも夢物語ではなくなるかもしれない。

(ZUU online 編集部)

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