どうやって人手不足を補うのか

すき家は、牛丼チェーンの中でも、手間のかかるメニューなどを取りいれる積極的な事業展開で知られている。とくに2014年2月より発売を開始した牛すき鍋定食は、店舗での仕込みに非常に時間がかかる。それにもかかわらず、もともと各店舗にぎりぎりの人数しか配属していなかったため、深夜も「ワンオペ」となる。仕込みはもちろん、注文、調理、配膳、精算などすべてを1人でこなすため、過重労働となるケースが多かった。

現在、世の中は「人手不足」と言われており、この人手不足は慢性的なものだ。その中でこのような過重労働で従業員は確保することは難しいだろう。事実、深夜営業を休止すると業績を直撃し、多大なダメージをこうむることになることは承知ずみのため、人手不足への対策は重要となってくる。


ビジネスモデル見直し以外、改善策なし

ここで、ゼンショーホールディングス(すき家)の雇用形態をみていこう。もともと同グループについては、以前より雇用環境に関する問題が指摘されていた。それはたとえば、幹部たちの「昼夜を問わず生活のすべてをこの仕事にささげる」、「苛烈な競争に生き残ったものだけが必要」という考え方が根本にあるようだ。

こうした前近代的な考え方が背景にあるせいか、ゼンショーホールディングス従業員の労働条件や待遇の悪さは、かねてから有名である。一例を挙げると、店舗に勤務する正社員は、基本的に店舗管理マネジャーのみ。このため、店舗を切り盛りするのは実質的にはアルバイトやパートが中心だ。さらに、店長と複数店舗担当者も、その多くは正社員ではなく契約社員で占められている。

これほどの前近代的雇用形態+過重労働環境であれば、「ブラック企業大賞」を受賞するのも当然である。ワンオペ問題も、過重労働に加え、待遇の悪さを不満として大量の退職者が出たことからはじまった。

ゼンショーホールディングスの今後は、ビジネスモデルを変えないと問題は何も解決しないと思われる。「生活のすべてを仕事に捧げる」といった考え方によるビジネスモデルでは、もはや通用しない時代だ。今回の深夜営業再開についても、これで業績が急速に改善するとはとても思えない。

(ZUU online 編集部)

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