2014年度末まで残すところあと2ヵ月ほどとなった。新年度に入れば人事異動が待っている会社も多いが、人事異動後に前の担当者がやっていた不正が発覚するケースが多々ある。特にお金に絡む不正が目立ち、経営者の頭を悩ませる。

不正が発覚してから、会社として信頼を回復させるのはなかなか難しい。それを回避するためにも、不正の特徴を知り、効果的な予防策を考えておきたい。


不正を行う目的

どのような不正が行われるか、その手口を考える前になぜ従業員が不正を行うのかを考えておきたい。
不正を目的別に分類すると2種類に分けられる。自己の利益を図るためと、会社に損害を与えようと画策するためだ。

不正は必ずしもどちらかに分類されるものではなく、例えば、自己の利益を図るために会社の機密情報を競合他社に売却し、見返りを得るような場合は、両方に該当する。その意味では、この分類自体意味がないと指摘されるかもしれないが、不正の目的を知っているのと知らないのとでは根本的な対策が変わってくるため、この2つの分類を確認しておくことは重要だろう。


不正の分類

不正の行為そのものはいくつかに分類される。1つ目は資産に関する不正、2つ目が汚職、そして最後に財務諸表に関する不正。

まず、資産に関する不正は、現預金を盗む、帳簿に記載される前に抜き取る、架空の請求書を作成し不正に支出するといったものだ。また、在庫を盗む行為もここに含まれる。

次に汚職は、取引業者から不正にリベートを受け取る、販売上・購買上利益供与を行うことなどが挙げられる。

最後に財務諸表に関する不正は、架空の売上を計上したり、費用を多く計上したりする粉飾につながるものをいう。