不正が起きやすい環境

従業員の悪意だけでは不正は成立しない。不正を起こしやすい環境と連鎖反応してはじめて不正が発生する。

不正を防止するためには、「内部統制」が効果的だ。内部統制とは、不正は必ず起こるという前提のもと、従業員同士でチェックさせる仕組みを指す。性悪説をとった考えだ。例えば、毎日退社前に、現預金残高を入力した担当者以外の者がダブルチェックする、売上日報の報告を受けた者が一部を抽出して内容に不自然な点がないか確認するといった方法。

ただ、内部統制には限界があり、チェックする者と不正を働く者とが共謀した場合、当然機能しない。そこで、定期的にチェックする担当者を入れ替える等の対策が必要となる。

しかし、内部統制だけでは事前防止策はうまく機能しない。そもそも不正は、本人に対するプレッシャーや、不正を許す社内の「空気」といったものも影響を及ぼす。例えば、営業部門の給与が完全歩合制(フルコミッション)で決まるような場合、架空受注や架空売上を計上させやすい状況に陥ってしまう危険性が潜む。


頻繁に内部統制の見直しを

予防策だけではなく、不正の兆候を発見したり、不正が起きそうな状況を見つけたりした場合は、その都度、内部統制の見直しが求められる。一度内部統制を構築した後、見直さないでそのままにしている会社が多いのが現実だ。そのような会社の場合、不正防止策を導入しているからこそ、不正を働いて会社の防止策が機能していないということを世間に知らしめ、会社の信用を失墜させようと考える従業員が現れてくるのでより注意が必要だ。

これから3月の年度末決算に向けて、繁忙期を迎える会社も多いだろうが、決算という大事なイベントを控えている今だからこそ内部統制を見直し、早めに経理などを含めた不正の芽を摘んでおくのを検討してはいかがだろう。

(ZUU online 編集部)

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