4月倒産件数は減少基調に復帰 今後は内需拡大での業績向上がカギ
企業倒産件数は4月に減少トレンドに戻り、金融危機前を下回る低水準を引き続き確保している。今後内需が回復し、景気が本格的に拡大していけば、企業の経営環境はさらに改善されていくだろう。
業種や地域を問わず倒産減少
民間信用調査会社東京商工リサーチ(TSR)が発表した4月の全国企業倒産状況によると、負債総額1,000万円以上の倒産件数は748件であり、4月としては1996年以降の過去20年間で最少に抑えられた。
これはリーマンショック前の好景気だった2005年(月平均1,083件)だけでなく、バブル期の1988年(同844件)をも下回る低さだ。また3月は6ヶ月ぶりに増加に転じてしまっていたが、4月は18.2%減と再び前年割れし、改善の流れに戻っている。
産業別では、10のうち不動産業を除く9業種で倒産が抑制された。
大きい割合のものに注目すると、金融緩和継続による円安の恩恵から、自動車や電子部品を含む製造業が9.9%減。景気刺激策として公共事業が前倒しされてきたことが寄与し、建設業も21.6%減と大幅に縮小。
また卸売業が3.8%減で3ヶ月ぶり、小売業が16.7%減で2ヶ月ぶり、サービス業他が22.7%減で同じく2ヶ月ぶりと、それぞれ改善。消費増税の影響が残るものの、3月までの駆け込み需要の反動減がなくなったことが奏功している可能性がある。
さらにこれらを含む全業種について、金融機関が中小企業の返済計画の変更要請に引き続き対応しており、そうした企業への融資を積み増していることも、経営を下支えしているようだ。
地域別に見ると、2013年8月以来1年8ヶ月ぶりに9つすべての地域が倒産を回避。高いシェアを占める都市部について、関東は14.0%減、中部は13.1%減となり、3月に増えていた近畿も19.5%減と改善。地方でも都市部を上回るペースでの改良が目立つ。
東北では、東日本大震災関連の倒産が4ヶ月ぶりに10件を下回り、33.3%減。他にも北海道の25.0%減、北陸の38.8%減、中国の29.2%減、四国の47.6%減など、2~4割も縮減している。