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決算集計速報 最終版 決算で1割以上上げた株・下げた株は

先月下旬からスタートした3月期決算企業の本決算発表も終盤に差し掛かり先週末でほぼ終わりとなりました。こうしたなか決算発表は主要企業でみると12日にピークを迎えましたが、13日以降も多くの企業が決算を発表しています。そこで今回はTOPIX500採用の3月期決算銘柄を対象に13日から15日の決算を早速集計してみました。

そのなかで決算後に株価が1割以上上昇したのが長谷工コーポレーション <1808> と電通 <4324> 、第一生命保険 <8750> で、長谷工コーポレーションはコンセンサス予想を大きく上回る強気の業績予想で、電通は自社株買いを好感して、さらに第一生命保険は強気の業績予想と自社株買いを受けて株価が急騰しました。一方でコンセンサス予想を大きく下回り3割減益の業績予想を発表したニコン <7731> が決算を受けて1割以上の下落となっています。


決算メモ

■日立 <6501> 相当程度のリスクを織り込んだ今期の会社予想
日立は14日に決算を発表し、2016年3月期の業績予想を公表しました。日立は今期から会計基準を米国基準から変更してIFRSを採用しますが、前期と比較するために参考値として公表されている米国基準の予想でみてみると、営業利益の見通しは前期比10%増の6600億円(IFRSで6800億円)となっています。

これは6800億円弱のコンセンサス予想を下回る水準ですが、会社予想は相当程度のリスクを見積もって保守的に組まれていることから単純にコンセンサスを下回る会社予想とは言い切れません。

これは6800億円弱のコンセンサス予想を下回る水準ですが、会社予想は相当程度のリスクを見積もって保守的に組まれていることから単純にコンセンサスを下回る会社予想とは言い切れません。

日立はこれまで部門別営業利益の控除項目である「全社及び消去」を多めに見積もることで業績が下振れた時の調整弁として利用してきました。このため今期の「全社及び消去」の金額も前期の41億円を大きく上回る310億円となっており、このうち200億円が調整弁だと会社側は説明しています。

さらに日立では今期からリスクを「全社及び消去」だけでなく各事業の利益計画のなかにも入れ込んでいるとしています。その金額は300億円で、「全社及び消去」の調整弁200億円とあわせると500億円の下振れには耐えられる会社計画になっており、リスクが顕在化しなければ最大で500億円上振れる可能性がある会社計画だとみることもできます。

また、為替レートの想定も保守的です。ドルが115円、ユーロが120円で、足元の水準からはドルで5円程度、ユーロで15円程度円高水準に設定されています。感応度はドルが40億円、ユーロが10億円で、これも業績の上振れ要素だといえます。

金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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