税金を使ってブラック企業を手助けしている

国が運営している求人は応募者の信頼が得られやすいが、実はハローワークの求人票は企業が自由に記載して提出するだけである。ブラック企業は、公的機関であるとのお墨付きを得たいためにハローワークを使い、新たな労働力を確保している。何とかして正社員になりたい若者が増加するなか、信頼のあるハローワークの求人に応募して、ブラック企業に就職という結果に陥っているのだ。つまり、税金を使って、ブラック企業の手助けをしているのである。


求人受付拒否には課題も残る

よって、今回のブラック企業の求人受付拒否の措置は、一歩前進とはいえる。ただ新卒の場合、民間事業者やネットを通じての直接エントリーなどが多く、ハローワークを介してブラック企業の被害者になるのは、むしろ既卒の人の方が多い。そう考えると、新卒者に限定し、民間事業者を対象外とした今回の措置は、中途半端といわざるをえない。

新卒と既卒を区別する必要性はないし、本気でブラック企業を排除しようとするのなら、ハローワークの求人に応募して採用された人に対し事前にアンケート用紙を配付し、就業後に求人票に書かれた労働条件が守られているかを確認すればいい。もし労働条件が守られていなければ、労働基準監督署が立ち入り調査をし、違反が見つかれば企業名を公表する、あるいは求人を出させないようにするなどの措置を講じれば、予算をかけなくても対策は実施できるはずだ。

経済的にみても、賃金を適切に支払う企業が、賃金を違法不当に支払わないブラック企業との価格サービス競争で敗れ、市場から排除されるようなことがあってはならない。デフレ状況下での価格競争や非正規雇用の増大によって増加したブラック企業は、真の経済成長を果たすためには、積極的に排除していかなければならないのだ。

ただ若者の雇用環境を改善するためには、労働法制だけに期待しても難しい。社会による監視・批判と経営者のモラルによって、ブラック企業を排除していくことが重要だろう。

(提供:ZUU online 編集部)

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