個人の信用リスクはクレジットカードのヒストリー利用で対応

ただ、こうしたダイレクトな個人金融ビジネスを展開する場合、誰しもが気になるのは信用リスクの問題である。闇雲に資金だけ貸し付けて回収できないのでは何の意味もなく、日本では無担保の融資というのはその上限額も限られてきたのが現状だ。

このレンディングクラブの場合、現状では全米の国民を対象とし、国内でクレジットカードから容易に得られる信用履歴を利用してクレジットリスクのマネジメントを行っている。ここが国内状況とは大きく異なる部分ではあるが、国民総背番号制で名寄せが進めば国内でも同種のビジネスモデルを展開できる可能性は残されており、今後もこのビジネスモデルは注目されることになるものと考えられる。レンディングクラブでは借り手の信用力に応じて、そのリスクにマッチする形でアルゴリズムによる融資条件の最適化をはかり貸し手、借り手双方にその情報を提供している。この仕組みが個人金融のマーケットプレースを支えているというわけだ。


日本国内ではFSA(金融庁)の判断も重要

こうした新しい金融ビジネスが国内にローンチされる場合、もっとも大きな参入障壁となるのが金融庁の判断である。たとえば生命保険業は国内では免許制ビジネスだが、アジア圏での多くの国では単なる登録ビジネスという驚くほど気軽にスタートアップできるビジネスとなっている。

FXではとうとう個人には25倍というレバレッジ規制が導入され、消費者保護を目的とした強制ロスカットも導入されるなど消費者保護を名目として他国にはない規制が多数介在する。果たしてこうしたレンディングクラブ方式の少額融資イノベーションのどこまでが国内で認められるようになるのかは非常に関心の高まるところといえる。ただ、グローバルにおけるこうしたビジネスモデルの普及と定着が加速すれば、何らかの形で日本社会でも同種のビジネスが認められるようになるのは、もはや時間の問題といえるだろう。

(ZUU online 編集部)

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