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計算と予測は、富裕層の要となります。例えば、近年富裕層の間で盛り上がりを見せているのが、海外移住です。海外へ移住するのには大きな決断が必要となりますが、国によっては税金が免除されたり、物価が比較的安いなどといったメリットが存在します。また反対に、文化・言語・生活水準の違いなどから生活に不便が生じるなどのデメリットもあります。彼らはそうした海外移住に伴うメリットとデメリットを計算・予測し、自己の利益を最大化するように行動しているのです。


①日本から富裕層が撤退することは、少子化よりも深刻な問題


近年富裕層の間で海外移住が盛り上がりを見せています。海外移住を仲介する会社は、ここ数年ますます多くなり、とりわけ富裕層が密集している東京・名古屋・大阪などの地域では、外資系金融機関を中心に海外への資産移転が積極的に斡旋されているようです。富裕層が海外へ移住してしまう理由については後で詳しく書きますが、このような富裕層の海外移住ブームは、日本にとって深刻な問題を引き起こしてしまう可能性があるのです。

国内の富裕層人口の減少に関して一番に危惧すべきことは、富裕層による消費減少に伴う経済への悪影響でしょう。国民の個人消費が国家経済の好循環を支えています。そして、何よりも富裕層は豊富な消費余力を有しています。つまり、彼ら富裕層が財布を開いてこそ、経済が勢いよく活気づくのです。ところが、そんな富裕層の人口が減少したらどうなるか。国内の消費は振るわず、経済は低成長、低雇用となります。内需の減少は、それに依存する中小企業や自営業者にも大きな打撃を与えることになります。

ここ近年、特に問題視されている社会問題として、少子化が挙げられます。日本において、少子化が進んでいる原因はいくつか考えられますが、そのもっとも大きな原因の1つは「子育てに対する負担感の増大」です。巨額の子育て費用や教育費の負担などから、低所得者層の一部には、経済的な理由から子供を持つことが難しいという人もいます。それに対して、富裕層は高い所得から、子育てに対する経済的負担能力が高いと言えます。

つまり、経済的不安定が子供の出生に影響をもたらす社会的状況のなかで、比較的その影響を受けずに子育てができる力を有する富裕層は、少子化の進行を抑えるための貴重な要素になりうるのです。そんな富裕層が海外移住によって人口が減少してしまったら、少子化問題にまで拍車をかけることになりかねません。子供の出生に加えて、国の経済にまで悪影響を及ぼしかねないという点を踏まえると、国内からの富裕層の撤退は、単なる少子化よりもいくぶん厄介な問題になりうるかもしれません。


②富裕層が近年、日本から外国に移住している理由


では、そもそもなぜ日本の富裕層は近年、外国に移住しているのでしょうか。単純に、海外の地で第二の人生を始めたい、という方もいるかと思いますが、より実質的なメリットというものが、富裕層を海外移住に駆り立てているのでしょう。

例えば、マレーシアの税法について考えてみましょう。日本はマレーシアと租税協定を結んでおり、日本からの移住者にはマレーシアの税法が適用されることになります。そして、マレーシアには年金への課税がなされていないのです。つまり、マレーシアに移住した日本人は、年金をそのまま貰うことができるというのです。ちなみに、日本の住民税もかかりません。こうした節税のメリットなどを理由に、日本から海外へ移住する富裕層もいるのです。