富裕層ファミリーが暮らしやすい都市とは
2016年に発表された「富裕層ファミリーが最も暮らしやすい都市」のランキングでルクセンブルクが首位に輝いた。アジア圏からは2位に香港、7位にシンガポールがランク入り。
10位までに選ばれた都市に共通するのは、比較的治安がよく、気候が穏やか。高い教育水準と医療設備を誇るところ。富裕層に有利な税制となっているので、事業面でも私生活でも充実した生活が期待できるとみられるのだろう。また「英語が共通語」「外国人と接することに慣れている」など、国際化が進んでいるのも特徴だ。
ヘッジファンドが盛んで低税率のルクセンブルグ
ランキングは英不動産コンサルタント、ナイトフランクが、富裕層のリロケーション(移転)を想定した「グローバル・ライフスタイル・レビュー」から抜擢されたもので、16歳以下の子供が2人いる2人親家庭を基準にしている。
国際税理士法人、BDOの協力のもと、富裕層顧客が税金対策として検討する人気の移住先を参考に、各都市の生活環境を考慮した。
「 安全度(米マネージメント・コンサルティング会社、マーサーによるデータ)」「インターナショナル・スクール数」「家族向けの娯楽施設数」「年間日照時間」「年間医療費」と、富裕層家族にとって重要な5つの評価項目に加え、「税率」「生活費」といった経済面から、「空港へのアクセス」「ミシュラン3つ星レストラン数」などの富裕層ならではの贅沢要素も考慮されている。
例えば1位のルクセンブルグは、住宅不足で不動産価格が過去1年間で5.1%増したものの、ガソリン1リットル当たり1.27ドル(約134円)、カプチーノ1杯2.95ドル(約312円)と、英国などと比較すると物価が若干低め。富裕層の定年退職後の移住地として人気を集めている。
英語が広く流通しており、各国からの移民間のコミュニティーが確立されているため、欧州のさまざまな国から人が集まる国際都市のイメージが定着しつつある。
また、ヘッジファンド産業が発展しており、非常にプロフェッショナルな事業文化が根付いているという点でも、投資家を含む金融産業者から高評価を得ている。先進国では類のない「低税率国」で、富裕層にとっては非常に快適な生活が送れるだろう。