米巨大金融機関、一部には解体を求める声も

米国では、国際基準であるバーゼルⅢに「上乗せ」する形で資本サーチャージが課される公算が高くなっている。米連銀の規制政策の策定で中心的な役割を担うタルーロ理事が先導する一連の規制強化に対し、「厳しすぎる」、「あまりに厳格な金融全般への規制は実体経済を弱める結果につながる」との声もある。

しかし、「ゴールドマン・サックスは3分割されるべき」と過去に唱えた米著名投資家マイケル・プライス、「金融システムを守るために政府は最大級の金融機関を解体すべき」と説くダラス連銀のフィッシャー総裁、「大きすぎて潰せないと考えられる銀行の規模を縮小することがよい解決策だ」として、巨大銀行の解体を求めたセントルイス連銀のブラード総裁等、より急進的な規制強化論者の発言も目立つ。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁までもが、「大きすぎて潰せない銀行の規制に向けた試みがうまくいかない場合、大手銀は解体を強いられる可能性がある」との見解を示し、将来的な巨大銀行解体の可能性を示唆した事は驚くべき事だ。

「ウォール街からシリコンバレーへ」米国経済の重心は確実にシフトしている。金融危機で打撃を受け、金融機関に対する規制が厳格化するウォール街では人材の流出も激しさを増している。

巨大金融機関の幹部が活況を呈するシリコンバレーのIT企業に転身する事例が増加しているのだ。2015年3月には、モルガンスタンレーのルース・ポラット最高財務責任者(CFO)がグーグルの次期CFOに就任するとの発表があり、話題となった。

また、ゴールドマン・サックス幹部のアンソニー・ノト氏がツイッターのCFOに就任したこともその一例だ。ボルカー・ルール完全適用後、ウォール街からの人材流出はさらに加速する可能性がある。

オバマ大統領に比べればウォール街に近いとされるヒラリー・クリントン氏が次期大統領に選出された場合、規制は幾分緩和されるとの見解も一部にはあるが、リーマンショック以降の規制強化の流れは大きくは変わらないだろう。ウォール街にとって厳しい時代はまだまだ終わりそうにない。(ZUU online 編集部)

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