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(写真=Thinkstock/GettyImages)


フィラデルフィア・フライヤーズ

◆昨日は、前日からのドル高地合いが継続し、ドル/円は直近レンジ上限だった121円を上抜けした。対ドルでは円が最も下落したことから、円は全面安となった。FOMC議事要旨は若干ハト派的だったが、ドルへの影響は軽微だった。

◆本日は、豪ドル関連で中国HSBC製造業PMI、ユーロではユーロ圏PMIとEU・東方パートナーシップ首脳会合(於ラトビア)、ポンドでは英小売売上高、ドル全般では米新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀サーベイそして中古住宅販売、南アランドでは金融政策決定などが予定されている。

◆中ではドル/円に注目で、121円を上抜けしドル高基調が強まる中で、米経済指標、中でもフィラデルフィア連銀サーベイが市場予想を上回って回復すれば、122円乗せも視野に入る。


昨日までの世界:円が全面安

ドル/円は、前日の米住宅着工件数の予想比大幅上振れを受けたドル高地合いが継続し、欧州時間入りにかけて121円に乗せ、FOMC議事要旨公表前に121.48円へ続伸した。

その後FOMC議事要旨では、1Qの減速は一時的としても、その後も弱さが持続するリスクを指摘するメンバーが多かったことから4月声明文よりもややハト派的な内容と受け止められ、公表後に一時121円を割り込む局面もあったが、引けにかけては再び121円台を維持している。

FOMC議事要旨は、6月利上げ開始の可能性を排除しない声明文と比べればハト派的だったものの、9月前後に利上げが開始されるとの見方を後ずれさせるような内容ではなく、利上げ開始タイミングに関しては今後発表される経済指標結果次第という状況が続きそうだ。

なお、昨日は米中長期債利回りは反落しており、円安の側面が強かったことが示唆される。本邦1QGDPは前期比年率+2.4%と市場予想を大きく上回ったが、在庫の寄与度が比較的大きかったことから実体経済は数字ほどにはよくない、との見方が大勢となっているようだ。

ユーロ/ドルは、欧州時間入り後にはドイツ10年債利回りが低下に向かったことから一時1.1062ドルと続落した。その後ドイツ10年債利回りは持ち直しており、1.11ドル台を回復する局面もあったが、全般的なドル高傾向が重石となり、再び1.11ドルを割り込んでいる。

ユーロ/円は、欧州時間入り後に一時133.92円の安値へ下落したが、その後は134円台半ばへ持ち直しており、前日からは横ばい圏内の推移となった。

豪ドル/米ドルは、鉄鉱石価格の大幅下落が続く中で、全般的な米ドル安傾向もあって0.79ドル台前半からFOMC議事要旨公表直後に0.7861ドルの安値を付けた。

豪ドル/円は、対米ドルで豪ドルと円がともに同程度弱かったことから、95円台半ばでの横ばい推移となった。

ポンドは、BoE議事要旨で前回と同様に据え置き決定が全会一致だったが、2名が据え置きと利上げは微妙なバランスだとしたこと、そして住宅価格の最近の上昇がリスクになる、との議論があったことなどから、若干タカ派的な内容と受け止められ、1.55ドル台半ばから1.5588ドルへ、対円では187円台前半から一時188.62円へ上昇した。

南アランドは、南ア4月CPIは総合が+4.5%、コアが+5.6%といずれも市場予想を若干下回り、軟化する局面があった。もっとも、その後のNY時間にかけて反発し、FOMC議事要旨後はドルが対円よりも対ランドでより大きく下落したことから、ランド/円は一時10.26円へ上昇した。

トルコリラも、南アランドと同様にNY時間に46円台半ばから一時47.10円へ上昇した。トルコ中銀は市場予想通り政策金利(1週間レポ金利は7.50%)を据え置き、特にリラ相場の反応はなかった。


きょうの高慢な偏見:住宅は建ち直るか?

ドル/円は、米新規失業保険申請件数の減少基調が続くか、1月にかけて急低下したフィラデルフィア連銀製造業サーベイが大きく回復するか、前月急増した中古住宅販売件数が反落しないかが注目となる。特にフィラデルフィア連銀サーベイが回復を示せば、ドル上昇基調を強め3月10日の高値である122.03円を試す展開もありそうだ。

ユーロは、19日発表のドイツZEW期待指数に続き、ユーロ圏5月PMI速報値でもピークアウト・前月からの悪化が顕著になるとユーロの重石となりそうだ。なお本日から明日にかけてEU・東方パートナーシップ首脳会合が予定されており、それにあわせてギリシャ問題についてもある程度議論が行われるため、関連ニュースに注意が必要だ。但し、Coeure・ECB理事の量的緩和加速発言を受けたドイツ利回りの低下は一服しており、下値は限定的となっているかもしれない。

豪ドルは、米ドル反発基調が明確になってくれば、鉄鉱石価格の反落基調と相俟って、下落が続きそうだ。米ドル高が前提となる場合には、米ドル/円も上昇するため、豪ドル/円は方向感がでにくくなることから、豪ドル/米ドルの取引の方が方向性がより明確となりそうだ。なお、中国ではHSBC製造業PMI速報値の発表が予定されており、小幅改善の予想だが低水準に変わりはなく、豪ドル押し上げには繋がりそうにない。

南アでは南ア準銀(SARB)の金融政策会合が予定されているが、昨日発表の南アCPIが市場予想を若干下回ったこともあり、今回は据え置きの可能性が更に高まっており、南アランドへの影響は限定的となりそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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ほっと、一安心。
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