収益価格の算出式から考える
土地の値上がりとの関係が低いとなると、別の理由が考えられる。ここで、収益物件の価格を決める収益価格の算出式から考えてみることにする。不動産の鑑定評価基準では、収益不動産の価格は収益還元法による収益価格を標準として決定されるとしている。収益還元法の中に直接還元法という収益価格の単純な算出式がある。
「収益価格=純収益÷還元利回り」という関係式だ。ここで言う純収益とは、賃料収入から固定資産税や修繕費、損害保険料等の経費を引いたNOI(ネットオペレーティングインカム)を指す。還元利回りは、期待利回りとも言われる。ひと言でいえば、その資産に投資するなら年利何パーセントの利回りを期待すべきなのか、ということである。
収益価格が上昇したということは、分子であるNOIが上昇したか、分母であるキャップレートが下落したかのどちらかということになる。昨年1年間の中で大きな賃料上昇という動きは見られなかったため、純収益(NOI)はほぼ一定であったと思われる。
価格上昇の主たる要因はキャップレートの下落
そうすると、収益物件の価格を押し上げた理由は、分母であるキャップレートが下落したためと言えそうだ。例えば、NOIが100万円の物件に対して、キャップレートが5パーセントだとすると、収益価格は「100÷5%=2,000万円」となる。
ここで、キャップレートを4パーセントに下落させると、収益価格は「100÷4%=2,500万円」となる。この場合、キャップレートが1パーセント下がったことで、物件価格が25パーセント上昇したことになる。
キャップレートの数値は、一般的に国債10年物最長期利回りなどに、不動産の個別性を加味して求められる。不動産の個別性とは、投資対象としての危険性、非流動性、管理の困難性などの不動産のリスクプレミアムである。
国債10年物最長期利回りは2014年1月時点で0.62パーセントであったが、2015年1月時点では0.275パーセントまで下落した。つまり、昨年1年間の収益物件が値上がりした原動力は、日銀の金融緩和策に影響を受けたキャップレートの下落であったと言えるだろう。
キャピタルゲイン狙いならタイミングを見定めよう
国債10年物最長期利回りは、2015年1月を境にじりじり上昇傾向にある。今からキャピタルゲインを狙って収益物件を購入するのは、少しリスクが高そうだ。キャピタルゲインを狙うのであれば、再び金融緩和が動き出しそうなタイミングで投資するのが良いだろう。(ZUU online 編集部)
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