どうして「JPX日経400」指数が作られたのだろうか?
日本のROEがどのくらいかご存じでしょうか?
平均して6~7%ほどです。欧米企業が総じて、2桁を達成しているのに比べると大変低い数字と言わざるをえません。というのも、低採算の事業が残されていたり、事業に比べて資本が大きすぎたりという日本企業が多いからなのです。
資本が大きいのに、収益が少ないというのは、株主からすると満足できない状態ですよね。自分のお金はやはり、最大限に有効活用してもらいたいものだからです。
この新指数の導入により、より日本の企業にROEを意識し、株主の方を向いた経営をするよう促すことが出来ると考えられています。また、海外のリスクマネーは日本よりも、よりROEを重視します。この新指数によって、海外のリスクマネーの呼び込みも期待できそうです。
そして、日本の個人投資家たちが、より企業の経営に注視していくきっかけともなると目されています。
JPX日経400の指標はどのように計算されるのだろうか?
まず、売買代金と時価総額が大きい1000社が選定されます。その際、整理銘柄や債務超過企業は除外されます。
つぎに、この1000銘柄のうち、3年平均ROE、3年累積営業利益、選定基準日時点における時価総額にそれぞれ、40%、40%、20%のウエイトをつけて、総合点を算出します。
そして、独立した社外取締役の選任、IFRSの採用または採用決定、決算情報英文資料の開示を評価要素として加点します。
このようにして算出されたスコアの中、上位400銘柄が構成銘柄とされます。
簡単に計算方法を説明しました。このうち、理解していただきたいのは、この「JPX日経インデックス400」の算出過程におきまして、ROEや営業利益に大きなウエイトがおかれるという点です。細かい計算方法はちょこっと頭に片隅に入れておけばよいでしょう。
どう使われる?「JPX日経インデックス400」
今、日本株を運用する機関投資家はTOPIXを使っているところが多いです。
ちなみにTOPIXは、東証一部上場企業の全てで構成される指標です。つまり、業績や株価が低迷しているような銘柄も自動的に運用対象に組み込んでしまいます。
新指数は、いままでTOPIXを使っていた機関投資家の運用における代替指数となることが期待されます。
そして、機関投資家の多くが、新指数を採用するようになると、個人向けの投資手段としても選択可能になってくるでしょう。
私たち個人投資家は、そのような個人向け商品設計を待つこととなります。
新指標として重要視されるべきROE
新指標の基準として、重要視されるROE(自己資本利益率)。
日本企業は長く、このROEを軽視してきました。会社の持ち主である株主からすれば、自分のお金がどのように使われているかというのは重要なポイントです。ROE軽視、それはすなわち、株主軽視に他なりません。海外資本が自由に国境を乗り越える昨今、リスクマネーを有効活用できない企業は淘汰されていくでしょう。
また、私たち個人投資家も、この新指数の登場と同時に今まで以上に、ROEなどの指標に敏感になり、真に株主としての自覚を培うべきなのでしょう。