社会や経済状況、競争環境の変化にともない、企業には大きな業務改革やこれまでにないITシステムの導入を迫られるケースが増えている。当然、それにともなう組織の改革、いわゆる「チェンジマネジメント」が重要となる。

「チェンジマネジメント」とは、経営のトップ自らが"改革"の狙いや必要性を周知し、組織の構成員の意識改革を行っていくマネジメントの手法だ。だが、実際には経営トップが従業員にその狙いや必要性を十分に理解させることは、想像以上に難しいのが現実だ。


チェンジマネジメントを成功させる4つのポイント

ウィスコンシン州立大学の客員教員でラッセルコンサルティングの共同経営者であるジェフリー・ラッセル氏は、自らの著書『組織を変える基本~変革を成功させるチェンジマネジメント』において、組織における変革を適切に実行し、成功させるためのロードマップとして次のような4つのポイントを指摘している。

1. 組織内の人々に変革を実感させる
2. 変革のビジョンをしっかりと提示する
3. 具体的な変革プランを確定する
4. 実行した変革を安定化させる

この4つのプロセスすべてを実現し、履行しながら組織の理解を得ることがきわめて重要であるとしている。そして、それぞれの段階におけるリーダーの役割と組織の人々の心理状態、抵抗への対処の仕方を紹介している。特に本書では、変革に起こりがちな抵抗への心理的配慮について、かなり細かく説明されている。経営戦略論の本として読むと、実はチェンジマネジメント成功のための要因は戦略レベルの高さよりも、組織の心理の掌握とコミュニケーションに、より大きなウエイトがあることに気づかされる。