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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日も、ドル/円主導の展開となり、円全面安となった。特段の追加材料がない中で、ドル/円はソフト口先介入をものともせず124.07円へ続伸した。

◆本日は、豪民間資本支出(CAPEX)サーベイ、英1QGDP改定値、米新規失業保険申請件数などが予定されているが、ドル/円は本邦政財界や国際社会のドル高円安に対する許容度を試すべく、投機的な上昇基調が続きそうだ。


昨日までの世界:政府・日銀の懸念は変動で、水準ではない(今のところ)

ドル/円は、特段の材料がない中で上昇基調が継続し、欧州時間から騰勢が強まり123円台後半へ上昇、NY時間入りにかけて一時124.07円と07年6月の高値(124.14円)に迫る水準となった。

この間、G7会合へ向かう道すがら麻生財務相が「急激な変動は望ましくない」、黒田日銀総裁も「為替相場は経済金融のファンダメンタルズに即して安定的に推移するのが望ましい」と述べるなど、最近の急変を沈静化させるために過去の決まり文句を使ったソフト口先介入を繰り返したが、短期的な値幅の大きさ(ボラティリティ)への懸念を示しただけで水準への懸念を示していないこともあって、市場はほぼ無視した格好となっている。

黒田総裁はまた、G7会合で為替が取り上げられるか不明とも答えており、海外からの円安批判、ドル高懸念への心配も高まらなかった。

ユーロ/ドルも、欧州時間の全般的なドル高基調の中で1.09ドル丁度前後から一時1.0819ドルへ下落した。もっとも、その後はギリシャ問題への懸念の後退を受けて反発、1.09ドル台を回復した。財政再建策を巡る実務者協議で、合意に向けた文書作成が始まったとのギリシャ政府の主張が報道されたためだが、EUなど債権者側はこれに関し否定している模様だ。

ユーロ/円は、欧州時間にはユーロ/ドル下落の影響を受けて一時的に反落する局面もみられたが、基本的にドル/円の影響をより強く受けて上昇した。133円台で始まったユーロ/円は、欧州時間入りにかけて134円台後半へ上昇した後、一時134円割れの局面も見られたがすぐに回復、135.02円の高値を付けた。

豪ドル/米ドルも、欧州時間入りにかけて0.77ドル台半ばから一時0.7691ドルへ続落した。鉄鉱石価格は再び反発傾向をみせているが、米ドル高傾向が勝ったかたちとなっている。

豪ドル/円は、対米ドルでの円安の方が豪ドル安よりも大きかったことから、95円台前半から半ばへじり高となった。


きょうの高慢な偏見:不寛容の時代はいつ

ドル/円は、本邦当局がまだ変動の大きさに対して牽制を与えるに留まっている中で、本邦当局や本邦経済、また国際社会のドル高円安に対する許容度を試すべく、上昇基調が続きそうで、週内125円も視野に入ってきた。

ユーロ/ドルは、引き続きギリシャ資金繰り状況や明日まで続くG7財務相・中銀総裁会合(於ドイツ)での議論の進捗などを眺めつつ、ドル高基調を背景とした軟調が続くかが注目される。この間、ドイツ10年債利回りは5月7日のピークである0.78%から昨日は一時0.52%へ低下してきており、上昇一服感が強まっていることも、ユーロの方向性として上昇を見込む先が減少してきているとみられる。

豪ドル関連では豪1Q民間資本支出(CAPEX)サーベイが注目だが、1Qの資本支出額実績よりも、2015年度の資本支出計画が重要で、前回2月分からの修正状況、特に今後豪州経済のけん引役となるべき非鉱業セクター分がどうなるかが注目される。通常のパターン以上に上方修正されれば目先の追加利下げ期待が後退する一方、上方修正が小幅に留まれば追加利下げ期待が高まり、豪ドル安に繋がりそうだ。

ポンド関連では、英1QGDP成長率の改定値が注目される。4月28日に発表された速報値では前期比+0.3%と市場予想(+0.5%、前期は+0.6%)を下回りポンド安となっていたが、英国では1QGDPは速報ベースでは低く出るが上方修正されることが多いとされ、今回も+0.4%へ小幅上方修正が予想されている。想定以上の上方修正となれば、ポンド下支え要因となりそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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