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(写真=Thinkstock/GettyImages)

豪ドルとNZドルは共通点が多いいわゆるコモディティ通貨だが、各種ファンダメンタルズ要因を比較すると、景気と経常収支の方向性、デフレ対策としての通貨安の必要性そして長期的な通貨の割高感などから、NZドルの方が相対的に下落余地が大きそうであることが浮かび上がる。


共通点:コモディティと金利に対する連動性の高さ

豪州とニュージーランドは共にコモディティ輸出国であり、コモディティ価格動向が国の交易条件(輸出価格/輸入価格)ひいては所得の変化を通じて景気に影響を及ぼす。そしてコモディティ価格動向が結果的に金融政策動向にも影響を及ぼすことから、豪ドルとNZドルは各々にとって重要なコモディティの価格および金利の両方と非常に連動性が高いという共通点をもつ(図表1、2、3、4)。

そして、各々にとって重要なコモディティ価格、即ち豪州にとっては鉄鉱石や石炭価格、ニュージーランドにとっては乳製品価格が、概ね類似した動きをしてきたことから、豪ドルとNZドルは、対米ドルあるいは対円でも、非常に類似した動きを示してきた。

とは言え、両者の直面する外部環境や国内経済動向は微妙に異なり、それを映じて豪ドル/NZドル相場は上下に大きく変動している。現在の各々の相場水準を決定している諸条件が変化してくれば、両者の方向性が異なってくる可能性もある。このため、豪ドル、NZドルが直面する諸条件を比較し、どういったパワーバランスが起きているのかを見ておこう。

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相違点:割高感とデフレの度合い、景気、経常収支の方向性

豪ドル、NZドル相場の動向を決定付ける要因の中でも特に重要なものとして、1コモディティ価格、2経常収支、3国内景気、4インフレ動向、5金融政策スタンス、6通貨のバリュエーション(割高/割安)、7中銀の為替政策、8ポジショニング、9住宅バブルへの対応、に絞って比較してみると、景気と経常収支の方向性、デフレ対策としての通貨安の必要性そして長期的な通貨の割高感などから、NZドルの方が相対的に下落余地が大きそうであることが浮かび上がる。

市場がRBAの追加利下げを若干織り込んでいる一方、RBNZに関しては殆ど織り込んでいないことも、RBNZが緩和バイアスへ明確にシフトした際のNZドルの下落余地を大きくしている。

豪ドルとNZドルの今後の見通しについて、対米ドルでは下落方向(当社の年末予想:豪ドル0.75ドル、NZドル0.68ドル)、対円では軟化方向(年末予想:豪ドル95円、NZドル86円、米ドル/円相場が126円の前提)で両者は概ね似通っている。

もっとも、豪ドル/NZドル相場は今年4月にかけて大きく下落しパリティ(1豪ドル=1NZドル)に接近した後、既に反発し現在の1.07NZドル/豪ドル近辺で推移しているが、年末にかけて1.10NZドル超えへ更に豪ドル高・NZドル安方向へ向かいそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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