住宅ローン
(画像=PIXTA)

第3回では、住宅ローン減税の概要と手続きの方法について解説した。 では、実際にどのくらいの税金が戻ってくるのだろうか? 繰り上げ返済や家計を考える上で、住宅ローン減税によって還付される税金を無視することはできない。第4回では、住宅ローン減税の還付金の具体的な計算方法について説明していく。

目次

  1. 税額控除とは
  2. 所得税と住民税の基本的な仕組み
  3. 住宅ローン控除の計算方法
  4. 住宅ローン控除の実際の計算

税額控除とは

住宅ローン控除の一番の特徴は「税額控除」という点にある。税金に対する政策のなかでよく見られるのは「所得控除」だ。「所得控除」とは税額計算の元となる所得金額の控除となり、税額は少なくなるが所得控除の金額そのものが減税になるというわけではない。例えば所得税率10%の人が「生命保険料控除」5万円を受ける場合の減税額は5万円の10%の5,000円となる。

この「所得控除」に対して「税額控除」は税金そのものが少なくなる制度であり、住宅ローン控除を利用して30万円の控除対象となれば、それは30万円の減税そのものとなるわけだ。以前は所得税しか減税の対象ではなかったが、現在は住民税も減税対象として加えられている。

所得税と住民税の基本的な仕組み

住宅ローン控除の具体的な説明をする前に、少しだけ税金の話をしておこう。税金の世界は少しとっつきにくいものに感じるだろうが、住宅ローン控除を理解するために知っておきたいポイントをいくつか取り上げてみたい。

まず「所得税」について。所得税とは所得にかかる国税、つまり国が徴収する税金で、あくまで所得にかかるものだ。所得は収入から一定の控除額を引いて計算されるが、パートなどの場合控除額が1,500,000円あるため、給料が1,500,000円以下であれば所得税はかからない。1,500,000円を上回る収入から所得税はかかることになる。所得が上がれば上がるほど税率は高くなり、納税額も増加する。

所得税はその年の所得に関して納税される。その年の所得は年末にならないと確定しないが、確定しないうちに暫定で毎月の給料から天引きされて納税している。最終的に「年末調整」という作業によりその年の所得と所得税額が確定して、所得税を払い過ぎていた場合は還付を受け、少なければ所得税の徴収を受けることになる。

これに対し「住民税」は居住している市町村への納税、つまり地方税である。計算方法は基本的には所得税と同じだが、その徴収方法に違いがある。その年の所得に対して、その年に天引き納税をする所得税に対し、住民税は前年の確定した所得に対し、毎月の給料から天引きされて納税される。そのためその年の所得は翌年の住民税の税額に反映されることになる。

住宅ローン控除の計算方法