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(画像=PIXTA)

住宅ローンの繰り上げ返済の概要やタイミングについて解説してきた。 長い期間付き合うことになる住宅ローンを、繰り上げ返済によって早く返済したいとは誰もが思うものだ。 しかし、子供の教育費や老後資金のために貯蓄もして行く必要がある。 貯蓄と繰り上げ返済のバランスはどのようにとっていくべきだろう。 家計を考えるのであれば借り換えも考慮したい。 最終回は、借り換えと繰り上げ返済の適切な組み合わせについて説明する。

目次

  1. 定年後の住宅ローン返済は厳しい
  2. 借り換えはどのように行うか
  3. もし実際に借り換えたらどうなるか
  4. 繰上げ返済はどのように行うか
  5. もし実際に繰上げ返済をしたらどうなるか
  6. 借り換えと繰上げ返済を組み合わせて

定年後の住宅ローン返済は厳しい

総務省の「2017年家計調査」より、2人以上世帯の家計収支によると、60歳以降になると収入は減少している。世帯主の年齢が50〜59歳の勤労者世帯における収入は約60万だが、60歳以上になると約41万1,000円まで低下する。

無職世帯の収支に着目すれば、状況はより厳しい。60歳以上の平均収入は約20万5,000円であるのに対し、食費など生活維持のための消費支出と税金や保険料などの非消費支出の合計額は約26万6,000円と、支出が収入を上回っている。なお収入の大部分は年金など社会保障給付で、金額としては約17万6,000円だ。

このような状態で、さらに住宅ローンの返済負担もあったなら、ゆとりある生活の実現は難しい。だが返済期間を短くできれば、定年後の生活は多少なりとも楽になる。借り換えまたは繰上げ返済、あるいは両者を組み合わせることは、その効果的な手段になり得る。

借り換えはどのように行うか

まず借り換えで返済期間を短縮する際は、なるべく60歳、もしくは65歳までに住宅ローン返済が終わるよう調整することが必要だ。

借り換えにあたっては、現在の住宅ローンの残高、残り返済期間、金利、月の返済額を踏まえ、このまま同じローンを借り続けた場合より負担が軽くなるような住宅ローンを新たに選ぶ。

例えば借り入れている10年固定の固定金利選択型において、10年の固定期間終了後に適用金利が上がる場合、残り返済期間を引き継いでより金利の低いローンに借り換えれば返済額は下がる。この返済額の減少分を返済期間短縮のために充て、返済額は同程度になっても返済自体がより早く終わるように調整する。

ただ、借り換え時には諸費用がどれくらいかかるかも考慮しなくてはならない。借り換えには手数料や抵当権に関する費用が新たにかかり、特に保証料は諸費用の大部分を占めるほどの出費になる。

もし実際に借り換えたらどうなるか