住宅ローン
(画像=PIXTA)

第4回は住宅ローン減税によって還付される、住宅ローン年末残高の1%を繰り上げ返済や貯蓄の計画に活用できることを説明した。住宅ローン減税期間中に繰り上げ返済してしまった場合には、還付される税金が少なくなってしまうことにお気付きの方も多いのではないか。 第5回では、住宅ローン減税と繰り上げ返済をどのように組み合わせて行くのがよいのかについて解説していく。

目次

  1. 消費税10%時代の住宅ローン減税
  2. 繰上げ返済シミュレーション
    1. モデルケースA
    2. モデルケースB
  3. 賢い返済法とは

消費税10%時代の住宅ローン減税

消費税率8%への引き上げに伴い住宅ローン減税も改正され、大型の住宅ローン控除が新たに実施された。2014年3月までの入居では、ローン残高2000万円を上限に年1%の控除率で最高20万円の税金が還付される仕組みだったが、4月以降の入居では一般住宅の場合で上限が4000万円に引き上げられ、還付される税金は年間最大40万円となる。

控除期間は10年のため、最大控除額は400万円に増額された。仮に3,000万円の住宅を購入した場合、消費税引き上げによる差額は90万円。拡大された住宅ローン控除により、増税分を取り戻すことが可能にもなる。住宅ローン減税と繰上げ返済と比較した場合、どちらがより得になるのか検証してみよう。

さらに、2019年10月から予定されている消費税10%への増税を控え、政府内には、現行の適用期間10年から15年へと延長する動きもあるので、ますます住宅ローン減税は重要になるかもしれない。

繰上げ返済シミュレーション

住宅ローン減税の適用条件に該当し、実際に繰上げ返済をした場合と、しない場合のシミュレーションを行ってみる。※ケースAとBは金利が異なっている。

モデルケースA

借入額3,700万円/金利2.25%/35年返済(ボーナス返済なし)

○繰り上げ返済なし:

住宅ローン減税効果(10年間) 303万円

効果合計 303万円

○3年目に300万円繰り上げ返済:

住宅ローン減税効果(10年間) 292万円

軽減利息 301万円

効果合計 593万円

○11年目に300万円繰り上げ返済:

住宅ローン減税効果(10年間) 303万円

軽減利息 107万円

効果合計 410万円

モデルケースB

借入額3,700万円/金利0.9%/35年返済(ボーナス返済なし)

○繰り上げ返済なし:

住宅ローン減税効果(10年間) 303万円

効果合計 303万円

○3年目に300万円繰り上げ返済:

住宅ローン減税効果(10年間) 292万円

軽減利息 103万円

効果合計 395万円

○11年目に300万円繰り上げ返済:

住宅ローン減税効果(10年間) 303万円

軽減利息 41万円

効果合計 344万円

どちらのケースでも、3年目に繰り上げ返済を行うほうが最もメリットが高いことを示している。住宅ローン減税の効果は、ローンの利率が高くなるにつれ薄まることがわかる。

賢い返済法とは