住宅ローン,繰り上げ返済
(画像=PIXTA)

第1回では、頭金ゼロでも繰り上げ返済を行うことによって、効果的に利息支払額を減らすことができると解説した。実際に繰り上げ返済を行う前には、繰り上げ返済によって「どのくらい期間が縮まるのか」「毎月返済額はいくら減少するのか」ということを知っておくことはとても重要だ。
繰り上げ返済の前にはシミュレーションサイトを活用したいが、さまざまなシミュレーションサイトがある。第2回では、シミュレーションサイトはどのように選択すべきか、どのように活用すべきなのかについて解説していく。

目次

  1. シミュレーションサイトは多数存在
  2. 繰り上げ返済の基礎知識
  3. シミュレーションサイト利用時に事前に準備しておくこと
  4. 違うサイトなら「お得さ」の種類が変わることも
  5. 総返済額をお得にするなら「期間短縮型」でシミュレーション
  6. 月々の返済額をお得にするなら「返済額軽減型」でシミュレーション
  7. 繰り上げ返済額が決まっているなら両方見比べられるサイトを
  8. 返済明細で繰り上げ返済のタイミングの重要性がよく分かる

シミュレーションサイトは多数存在

バブルの崩壊以降、家計のスリム化に住宅ローンの繰り上げ返済が有効と言われ続けてきた。とはいえ、2000年代初頭には、シミュレーションは金融機関の店頭で行員に依頼したり、ローンを組んだ際に渡された紙の返済明細を見ながら電卓で計算したりしていたものだ。

現在はネットが進展し、さまざまなサイトでいくらの金額をどのように繰り上げ返済すればどれだけお得になるのか何通りものシミュレーションが自分で簡単にできる。民間の金融機関はもちろん、不動産関係のサイト、金融広報中央委員会などの公的機関などのものがある。

こういった数値のシミュレーションは便利ではあるが、サイトや入力項目が多すぎて複雑になっている側面はある。

個人の情報を詳しく入力すると詳細なシミュレーションが簡単にできるが、あまり詳しくなりすぎる入力そのものが負担だ。あえて入力項目を少なくし、シミュレーション結果も簡潔にしているサイトもあるが、それでは欲しい情報が足りない場合もある。

シミュレーションサイトが多いからこそ、活用する側の事前の知識も要求されるのだ。

繰り上げ返済の基礎知識

先に述べたように、資金を借りたら利息を付けて返済する。利息は元金に利率を掛けたものだ。そして長期間になればなるほど返済する利息は多くなる。

住宅ローンの代表格である住宅金融支援機構の「フラット35」を例にあげよう。2018年11月現在の金利はほぼ年1.35%だ(金利は受け付ける金融機関が決定するが、最頻値を住宅金融支援機構の「フラット35」のサイトで知ることができる)。これで試算すると、3000万円を年1.35%固定金利・元利均等返済で35年借り入れた場合の総返済額は3766万円だ。つまり766万円の利息を付けて返済していることになる。

利息は、借りた元金に金利を乗じて計算されるものなので、元金の残高が少なくなれば支払うべき利息が減る。通常の返済は利息も含んでいるが、繰り上げ返済は元金を直接減らす返済だ。そのため、元金が減る分、利息の負担が減ってお得となる。

ただし、繰り上げ返済には金融機関によって手数料を取るところもある。1回あたり無料というところもあれば、数万円というところもある。また、金融機関等によっては繰上返済金額を10万円以上や100万円以上でしか受け付けないところもある。このような事務手続きについても押さえておこう。

シミュレーションサイト利用時に事前に準備しておくこと