Mt.Goxの破綻は、あの時のパターンと似ている

今回のMt.Goxの経営破綻の一方を聞き、個人的にはある事件を思い出しました。それはFXが登場してしばらく後に起きた、新興FX会社の相次ぐ破たんです。FXでは取引対象が通貨であり、仮想通貨であるビットコインとは異なりますが、3つの共通点があるように感じました。①聞きなれない会社名であったこと、②顧客からの預かり金の管理がずさんであったこと、③お金儲けの手段としての性格があったこと、です。Mt.Goxという会社名はビットコインが登場してから聞くようになりました。テレビコマーシャルをしているわけでもなく、一般の人々が知り得ることは可能性として低かったのではないでしょうか。ビットコインというものに関心があった人が自分から探し当てるといった程度だと思います。そして、顧客からの預かり金と預金残高のズレ。その金額が最大で28億円。一部は会社の経費に使われている可能性も大いにあります。新興FX会社の破綻が相次いだときにも顧客資産の管理が問題となりました。最後にFXもビットコインも投資対象としてみる人が少なからずいたということです。利殖という部分がクローズアップされ、お金が集まった(もしくは集めた)という構図はほぼ一致するように思えます。


Mt.Goxの破綻の残る疑問点

ただ、今回のMt.Goxの経営破綻につきましては「やっぱり儲け話には慎重にならなきゃだめだね」と簡単に片づけられない疑問も生じます。それは「何で民事再生という手段を選んだのか?」ということです。民事再生法を申請したとなれば、債務を大幅にカットしたうえで、会社は存続するわけです。ポジティブに考えれば、「一生懸命頑張って迷惑をかけた顧客に少しでも多くの払い戻しをするのだろう」と捉えることができますが、一方で「顧客財産の管理がずさんで、システムのセキュリティも弱かった会社が今後も同事業を行っていくことができるか」とも思えます。Mt.Goxはもともとカードのトレーディング事業を行っていたため、その事業に回帰するのかもしれませんが、どんな再生計画となるのか注目したいところです。また、「ハッキングした人の目的は何なのか?」という点も気になります。もちろん、利殖という点はあるのでしょうが、自分がハッキングしたことでビットコインの価値は大きく毀損することは容易に想像がつきます。一気に大量にビットコインを盗んだのではなく、長い期間にかけて少しずつ行っていたとも考えられます。ただ、どちらにせよ、100億円を超える大金(ビットコインで持っていても価値が下がると考え換金する?)を手にして、生活が派手になれば、容易に足がついてしまいます。長期にわたって行ったとしても、取引所を潰してしまうほどの大量のビットコインを盗む必要があるのでしょうか。


ビットコインの今後はどうなるのか?

さて、今後、ビットコインはどうなるのでしょうか。客観的にみてみれば、ビットコインの取引所の1つが経営破綻をしただけで、ビットコイン自体がどうにかなったわけではありません。もちろん、今回のニュースで他の取引所における取引価格も下落しましたが、事実は「取引上にあったビットコインが盗まれた」のであって「ビットコイン自体が消えた」わけではないわけです。しかしながら、Mt.Goxの経営破綻はビットコインのリスクを顕在化しました。そして、「ビットコイン=危ないもの」というイメージも少なからず広がったものと思います。FXが登場した際には、業界のイメージをクリーンにするためにかなりの年月を費やしました。ビットコインは利用者の信頼しか裏付けになっておりません。この信頼をどのように保っていくのかということがこれからの課題になり得ます。通貨を脅かすほどの存在になりうるとされたビットコイン。Mt.Goxの経営破綻をきっかけに尻すぼみになっていくのか、それとも規制などが本格的に行われるようになるのか注目したいところです。

BY: ista

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