2015年4月1日より税制改正が行われました。個人が2,000円を超える寄附を行った場合、確定申告をすると住民税の約2割が所得税から還付、住民税から控除されるようになりました。 又、確定申告が不要な給与所得者等は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」確定申告の代わりとして寄附先自治体へ提出すると、住民税の約2割が控除されます。税制改正によるふるさと納税のメリットとその魅力をご紹介します。


ふるさと納税とは

私たち国民が全国の好きな市区町村に寄附をする制度です。
もともと、地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体を支援する構想として2008年に創設された制度です。
総務省によると、2009年度は利用者数3万人、寄附総額73億円だったのに対し、2014年度は利用者数13万人、寄附総額は142億円にまで拡大しています。


ふるさと納税のメリット

このふるさと納税は、自治体にとっては税収確保だけでなく、寄附に対する返礼品の提供を通じて、特産品の知名度アップを図る手段となるのです。
では、ふるさと納税をする側のメリットは何でしょう。
まず、2,000円を超える寄附を行って確定申告すると、その年の所得税から控除額が還付され、翌年度の個人住民税が減額されます。これまで、ふるさと納税に対して控除対象外となる2,000円を除いた控除限度額のうち、個人住民税の所得割(住民税のうち、収入に応じて変動する課税額)に対する控除額の上限は1割と定められていましたが、2015年4月からこれが2割に拡大されました。

総務省の試算によると、配偶者がいる給与所得者で、年収が300万円の場合の控除限度額は1万2,000円から2万3,000円に拡大。年収500万円の場合は控除限度額が3万円から5万9,000円に拡大されます。
また、これまでは確定申告が必要でしたが、2015年4月から年間に5自治体までの寄附であれば、寄附ごとに申請書を寄附自治体に郵送することで確定申告が不要となる「ワンストップ特例」が導入されました。
ただし、もともと確定申告の必要のない給与所得者等であることと、2015年1月1日~3月31日の間に寄附をしていないことがこの特例を受けられる条件です。


魅力が高まる返礼品

ふるさと納税のメリットはほかにもあります。
寄附をすると、特産品や工芸品など、各自治体が用意している返礼品を受け取ることができるのです。近年、この返礼品の魅力が高まっています。高級マンゴーの「太陽のたまご」や高級さくらんぼの「佐藤錦」といった地元の農産物や新鮮な魚介から、宿泊券や様々な施設の優待券を採用している自治体もあり、そのバリエーションも急速に拡大しているのです。

長野県飯山市はマウスコンピューター社のタブレットPCを返礼品に加えましたが、製造が追いつかないほど希望が増えているといいます。山形県米沢市も、同市内の工場で生産されたレノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad」を返礼品に採用すると発表しました。
さらにユニークな返礼品も登場しています。例えば、岩手県二戸市では10万円以上の寄附に対して、地元りんご園での「りんごの木のオーナー権」が、鳥取県倉吉市では50万円以上の寄附に対して、中国地方有数の仏師によるオリジナルの「手彫り仏像」が贈呈されます。武田信玄のお膝元である山梨県笛吹市は、100万円以上の寄附に対して、抽選の上、春祭りのメインイベント「川中島合戦戦国絵巻」での「武田信玄役」を、一方静岡県焼津市は100万円以上の寄附に対して、「天然南マグロ」を丸ごと1本提供するといいます。

さらに返礼品の高額化に拍車がかかっています。富岡製糸場の世界遺産認定で沸く群馬県富岡市では300万円以上の寄附に対して富岡産の希少な高級シルク「ぐんま細」を使用した婦人用フォーマルコートを返礼品として用意しています。その価値はなんと130万円相当とも言われています。


自分の意志で選べる寄付

ふるさと納税のもう一つのメリットは、寄附の使い道を指定できることです。
税金の使い道を自分で指定できる日本で唯一の制度なのです。
例えば、「この被災地の震災復興に使ってほしい」とか、「祖母が住んでいる市の介護施設に使ってほしい」といったように、自分自身の意志で使い道を指定できるのです。このように様々なメリットのあるふるさと納税は、今後さらに広がりを見せそうです。

※この記事は2015年5月11日に掲載されたものです。
提供: ファイナンシャルスタンダード株式会社

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