MVNO
(写真=PIXTA)

キャリアから回線を借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)への参入が相次いでいる。今年4月に総務省より発表された調査によると、2015年3月末時点でのMVNOの事業者数は170社、MVNOサービスの契約数は892万件となっている。

MVNOの魅力は、なんといっても通信料金の安さだ。多くのMVNOがデータ通信のプランを月額1,000円前後から提供している。しかし、新品のスマートフォンの価格はさほど安くない。5月に発売されたASUSの『ZenFone 2』のハイエンドモデルは5万円を超える。

そこで、最近になり中古のスマートフォンとMVNOのSIMを組み合わせた利用方法が人気を集めている。リサーチ会社のMM総研によると、中古携帯電話市場は2013年度には141万台であったが、2018年度には326万台になると予測している。

この人気に目をつけたのがブックオフコーポレーション <3313> だ。ブックオフの店舗ではこれまでもスマートフォンの買い取りを行ってきたが、今年2月には、端末を下取りに出せば新品のSIMフリーのスマートフォンを無料で販売するというサービスを開始した。

これにゲオホールディングス <2681> も追随した。ゲオホールディングスはNTTコミュニケーションズと提携し、新品または中古のスマートフォンと格安SIMを組み合わせた『ゲオスマホ』の販売を4月より開始している。

この中古スマートフォン人気は国内だけではなく、世界全体の傾向だ。米ITコンサル企業のガートナーは、中古スマートフォン市場は2017年までに1億2000万台、現在の約2倍の規模になると予想している。この背景には、アジアやアフリカなどの新興国における成長が大きく寄与している。

また、SIMロックの解除義務化や、2年契約の解除期間を1カ月から2カ月に延長するなど、既存キャリアの囲い込みが弱められてきている。これは、総務省などがMVNOといった新しい動きを通じて通信業界に健全な競争を起こし、国民へのより良いサービスの提供を実現させることを狙っているためだ。

中古スマートフォン市場の世界的な拡大と、国内通信大手事業者の寡占の改善によって、MVNOの未来は明るいように見える。しかし、MVNOの拡大には懸念もある。それは、十分な消費者保護が行われるかどうかという問題だ。