消費者保護に目を光らせる総務省

携帯電話を契約する際には、複雑な料金プランなど契約内容に不明瞭な点が多い。総務省も以前からこれを問題視しており、2011年の『電気通信サービス利用者の利益の確保・向上に関する提言』において、「業界団体や各電気通信事業者による対応にもかかわらず、一定期間内に状況が改善されない場合には、電気通信事業法に再勧誘の禁止規定等を設ける等の制度的な対応について検討することが求められる」と警告を発してきた。

それにも関わらず、全国消費生活情報ネットワークシステムに寄せられた携帯電話に関わる相談件数は、2009年度に18,694件だったものが2012年度には21,083件と増加を続けているのだ。

最近のSIMロック解除義務化などの一連の施策は、いわば総務省の堪忍袋の限界が近いことを示している。総務省の議論では、SIMロック解除義務化と合わせて端末のクーリングオフも検討されていた。今回は導入を見送られたが、消費者保護の改善が見られない場合は、いつ導入されてもおかしくない。


消費者からわかりにくいMVNOの品質

MVNOの乱立には、移動体通信業界の消費者保護問題をより悪化させるという懸念もある。たとえば、消費者がMVNOを利用する際にはある程度の知識が必要だ。まず、MVNOによって通信の品質がバラバラなのである。MVNOはMNO(移動体通信事業者)から回線を借り受けているが、どの程度の帯域を借りているのか、消費者にはよくわからない。どのMVNOも最大の通信速度を表記してはいるが、実際の実効速度については示していない。

また、消費者保護の観点から見てみると、中古スマートフォンにもリスクは多い。故障した場合の保証やメーカーのサポート期間など、いざというときには消費者自身にある程度の知識や情報収集能力がないと判断がつかないことが多い。

MVNOは低価格が売りであるため、顧客への説明やフォローは手薄になりやすい。このため、消費者が安さに引かれてMVNOに流れこむと、クレームや相談件数が跳ね上がる可能性が高いのだ。

こうなると総務省も看過するわけにはいかず、消費者保護のためのより厳しいルールが導入されることになるだろう。これは、MVNOにとってコストを大きく引き上げる要因となり得る。これからMVNOが成長していくためには、何より消費者保護を念頭に置いた誠実な事業を進めていくことが大切になる。(ZUU online 編集部)

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