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(写真=Thinkstock/Getty Images)


総賃金の強力な拡大

「アベノミクスは理論的にはきれいにワークしていますが、景気はやはり気の部分が大事ですから、実感につながるかがポイントで、我々雇用者の賃金の合計である総賃金が強く拡大をしていく必要があります。政府と企業がお金を借り入れてまでも使っている時の方が総賃金は伸びるだろうというのが、経済的なロジックの次のステップということになります」

「いまのところ雇用者の賃金の合計である総賃金の伸び力は残念ながらマイナスの期間が多い状況です。これは、日本の総賃金のパイの縮小が内需低迷デフレの原因になってしまったという状況分析ができます」

総賃金のパイが縮小しているから内需が低迷して、デフレが長期化しているという状況分析はこれまでも良く聞いていた。日本が少子高齢化で、働く人の数が減るので、総賃金のパイの縮小はやむを得ないという意見の中には「経済成長は諦めて、身の丈に合った暮らしをしていけば良い」というものもあった。

しかし、会田氏は分析を進めるうちに「この総賃金の動きというのは、DIとネットの資金需要で説明できることがわかってきた」と述べている。

DIは景気動向指数の一つで、構成する指標のうち、 改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定するものだ。

このDIが上がれば失業率が下がって労働需給が引き締まるので、総賃金が上がってくる。もう一つが国内のネットの資金需要で、政府と企業がお金を使えば、次の段階で家計に入って来るはずだ、というロジックである。だが、これまで賃金が上がらなかった理由はどういったものなのだろうか。

「今まで労働需給がある程度引き締まっても、なかなかその賃金が上がらなかった理由は、ネットの資金需要がゼロだったからです。例えるなら、米びつの中にある米がなかった状況です。今回はDIもしっかり上がっていますし、ネットの国内資金需要も復活をしているので総賃金が伸びてくるはずです」

実際には、既に総賃金の伸び率は急加速をし始めており、今後1~2年の間にさらに拡大すると見られている。かつて2%程度拡大したのが1995~96年で、デフレの入り口と言われた時だった。その時と同じくらいの拡大が今回も見込めるのであれば、ゴールテープを切ったような、デフレ脱却をしたらしいことが実感されるのではないかと思われる。そしてもう一つが株価の動きだ。

「偶然なことに、96年後半の日経平均の水準が2万円ほどでしたので、今まさに同じ水準に到達しているところなのです。総賃金が2%拡大、日経平均が2万円というところがデフレ脱却の一つの実感値の局面で、今そこに近づいているのではないでしょうか」

だが、やはり人口減少社会であることに変わりはないが、この点はどう見たら良いのだろうか。

「もし、経済がニュートラルで刺激も下押しもなければ、総賃金はマイナス0.9という数値を示しています。これは、毎年下がってくるというハンディキャップを人口減少によって招いているということです。そして労働力人口は、現在平均0.8くらい落ちていますので、大体同じような数値となっているわけです。

ただマイナス0.9というのはカバレッジできる数値であると私は見ています。DIが上がるのと、トータルレバレッジが拡大すれば良いのです。いま、日本経済にはそれを上回るぐらいの力が見えてきておりますので、総賃金が2〜3%くらい拡大していけば、1年ぐらいの間にデフレ脱却宣言ができると思っています」(ZUU online 編集部)

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