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(写真=PIXTA)


貨幣経済の拡大

今回最も違う二つ目のポイントは、復活したネットの国内の資金需要を日銀が大規模な金融緩和をして、間接的にマネタリーしたことだ。それによって、金融緩和の効果がこれまで以上に大きくなって、現在貨幣経済名目GDPまで膨らみ始める。これも前回までとは大きく違っている点だ。

「今回は企業貯蓄率が低下してお金が回るようになり、膨らむようになりました。これが今回の景気回復の違いです。実質ベースでの回復の仕方、理論、裏付けや実質ベースでの成長スピードに関しては、前回までの景気回復とほぼ一緒ですが、今回はマネー、貨幣経済の回復力が前回と比べて圧倒的に強いのです」

同じ実質成長率であっても、貨幣が膨らみ始める時の方がデフレ脱却はより確実性が高いというわけだ。

「ネットの資金需要を日銀がほぼ全てマネタイズしています。GDPの5%、25兆円ぐらいがネットの資金需要と言われていますが、日銀は既に80兆円を毎年マネタイズしています。日銀が供給した通貨がシフトされて、市中に流れることで日銀の金融緩和が利いてきます。そして資金需要が出ると金利は上がるのが一般的ですが、日銀の異次元緩和によって、上昇効果が抑制されます。一方で、貨幣経済は拡大しているため、インフレ期待が上がってきます。結果として、実質金利がマイナス化したというわけです」

福井総裁時にも緩和を行ったがあまり効果がなかったのは、どうしてだったのだろうか。

「企業貯蓄率がゼロで、何もマネタイズするべきものがない状況のところにいくら流動性を押し込んでも、金融機関の中をグルグル回るだけだからです」

しかし、今回はネットの資金需要が存在をしている状況に、日銀がマネタイズするので、貨幣経済が膨らむことになる。そうすればマネーが市中に流れて来るので実質金利をマイナス化させることに成功したという。

「この実質金利のマイナス化が企業活動を刺激したり、円安になったり、マーケットを刺激したりして、これをもう1年ぐらい頑張り続ければ、企業貯蓄率がマイナスになってデフレ脱却だと私は見ています。王手がかかってる状況ではないかと思います」(ZUU online 編集部)

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