トヨタがこの時期にAA種類株を発行する意図

時価発行増資にしても社債の発行にしても時価総額国内最大の安定感を誇るトヨタなら資金調達に困る会社ではないはずだが、なぜこの時期にAA種類株を発行するのだろうか。

その理由として、トヨタにとっては普通株で時価発行増資するよりも種類株ならば、同じ株数で大きな金額の資金を調達できることが上げられる。

また、現状のトヨタ株の配当利回りが2.45%程度(7/1現在)となっているが、今回の種類株式では発行から5年目で2.5%に到達するので発行から4年間は株式配当利回り以下のコストで資金調達が可能となる。さらに今回設定されている5年間保有の条件があるので、株式を取得する個人投資家が増えれることで長期保有指向の株主へと構成を変化できる隠れたメリットもある。

ただし、景気が大幅に低迷し、トヨタ自体の業績も伸び悩む事態になればこうした金利インセンティブの高い株式の発行は経営の重しとなることも考えられる。


気になるトヨタAA型種類株は買いか

今回トヨタが発行を決めたAA型種類株は、5年間の譲渡制限があり、発行条件も普通株式の約1.3倍と割高に設定されている代わりに、5年間は配当金が毎年0.5%ずつアップしていくもの。

ただし、トヨタが倒産、消滅しない限り買取保証がつけられており、これが大きな魅力といえる。現状でいえば定期預金よりもはるかに高い利回りがつく点では国内投資家にとっての魅力は大きい。

さらに普通株への転換権がついていることも大きな魅力となる。取得から5年を経過してこの種類株式の発行価格よりも株価が上昇していれば普通株を取得してキャピタルゲインを得ることができる点は注目に値する。これはいわゆるコールオプションとしての性格を持つもので、厳密にはこの先5年間でトヨタ株がどれだけのボラティリティを示現するかによって価値が決まる。

株価が5年後以降大きく上昇すれば転換して売却、下がれば金利だけ享受して額面でトヨタに買取をしてもらえる。このような条件であるから資金に余裕のある投資家にとっては魅力的な条件といえそうだ。


AA種類株式は、課税に注意

トヨタのAA種類株式の場合、未上場となるので1回に受け取る配当金額が10万円以内であれば申告は不要となる。しかし、10万円を超えた場合は、源泉分離課税ではなく総合課税となるので高額所得者には所得に加算されて課税される。

そのため、せっかくの利回りも旨味がなくなる可能性があるため十分な注意が必要となる。ちなみにこの分離課税の対象となるのは100株だけ購入した場合のみとなる。(ZUU online 編集部)

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