imasia_2441595_S (写真=PIXTA)

2月に日本上陸を果たしたブルーボトルコーヒー。

米国から日本に上陸したコーヒービジネスの新しい形が「第3の波 サードウェーブ」である。2002年末に米国スペシャリティ協会が発表したコラムの中で、サンフランシスコのカフェオーナー「トリッシュ・ロスギブ」氏が新しいコーヒーカルチャーとして提唱したのが始まりと言われている。

その内容は、少量生産の高品質なコーヒー豆を適正価格で取引きするスペシャリティコーヒーに注目するべきであり、エシカルを重視する傾向の正当性を全米に伝えたものであった。これを機に、米国発のサードウェーブが世界に広がったのである。この新潮流は、豆の産地・農園を重視し、豆に適した焙煎をする、個々のコーヒー豆の個性を活かした高品質なスペシャリティコーヒーを追求するものとして日本にも上陸した。


日本初上陸の“サードウェーブスタイル”

上陸当初、日本で注目されたサードウェーブカフェは、個人オーナーが経営する豆を焙煎して販売するショップ併設のスタイルであった。東京都・三軒茶屋の「オプスキュラ ラボラトリー」や東京都・神宮前の「バドラーズコーヒー」などが著名である。マイクロロースティングと呼ばれる小規模焙煎で、ストレートコーヒーを推奨し、サイフォンやマニュアルドリップ方式で、一杯ずつ丁寧に入れる香りの高いコーヒーが人気となった。


現在にも受け継がれる“喫茶店”

日本には、セルフ型コーヒーショップが登場する以前から、“喫茶店”の業態でカウンター越しに顧客とコミュニケーションを取りながら一杯の入れたてコーヒーを楽しむ文化があった。当時から、大量生産ではない“カップ一杯毎に丁寧に入れられたコーヒー”が存在し、本格派な顧客ほど、ストレートコーヒーを好むサービスが存在したのである。この懐かしの喫茶店を継承し、人気を得ているのが「昭和型カフェ」と呼ばれるコメダ珈琲店や星野珈琲店などである。いずれもフルサービス形式で、来店客は“くつろぐ”ためにやって来る。ゆったりした店内で新聞や雑誌を読みながら、コーヒーを片手に癒しの時間を過ごすのが目的である。


目的は“くつろぎ”と“一杯のコーヒー”

株式会社コメダが展開するコメダ珈琲店は、1968年に名古屋で創業し、2015年5月末時点で全国に632店舗と拡大傾向にある。“誰もがくつろげる「街のリビングルーム」でありたい”をコンセプトに赤のソファーと木目のテーブルといったインテリアで、店内をタイムスリップしたような懐かしい昭和の香り漂う空間に演出をしている。

星野珈琲店は、ドトール・日レスホールディングスが2011年に埼玉県・蕨市に1店舗目をオープンし、2014年4月時点で全国に88店舗を展開しているフルサービスカフェである。更に店舗数は拡大傾向にあり海外にも出店が進んでいる。“一杯ずつ丁寧に淹れたハンドドリップコーヒー”と“ハイクオリティなスペシャリティコーヒー”が人気を得ているポイントである。


日本独自のサードウェーブが「昭和型カフェ」

日本に上陸した米国発「サードウェーブ」は、”癒しの空間”と“丁寧に入れられた一杯のコーヒー”を起点に、懐かしい昭和の時代から継承される“喫茶店文化”をベースにした日本独自の新しい波として進化し拡大している。「昭和型カフェ」は今後も日本の進化形サードウェーブとして、フルサービスカフェのスタンダードになるであろう。

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