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(写真=PIXTA)

◆世界経済に大きなダメージを与えた、08年の金融危機では、米住宅市場バブルの崩壊に伴う、米金融システムへのストレスが原因となった。米住宅市場は、金融危機後に暫く低迷していたが、11年以降は緩やかながら回復基調が持続している。

◆米国住宅市場に関する指標は、概ね金融危機前の住宅ブームのピーク時からは完全には回復してないことを示しているものの、住宅着工が漸く世帯数の増加ペースに追いつくなど、住宅バブルの後遺症は相当程度癒えてきたといえる。

◆また、ファニーメイやフレディマックが、初めて住宅を購入する人向けに住宅ローンの頭金について最低水準を引き下げるなどした効果もあり、住宅販売も回復に弾みがついてきた。実際、建設業者のマインドを示す住宅市場指数では、今後6ヵ月の新築住宅販売見込みの改善スピードが15年に入ってから顕著に加速している。

◆米国では、今後政策金利の引き上げが見込まれ、住宅ローン金利の上昇等を通じて住宅市場への影響が懸念される。しかしながら、労働市場の回復持続が見込まれる中で、当面、政策金利の引上げペースは緩やかと見込まれ、住宅ローン金利の上昇幅も小幅に留まるとみられることから、住宅市場への影響は限定的であろう。

住宅市場指数


はじめに

日本や欧州をはじめ、世界経済に多大な影響を与えた08年のリーマン・ショックを契機とする米国の金融危機は、住宅市場のバブル崩壊に伴う金融システムへのストレスが原因である。

米住宅市場は、リーマン・ショック前の05~06年に既にピークアウトしていたが、リーマン・ショックを受けて、失業率が10%に達するなど実体経済に大きな影響が出たこともあり、住宅着工や住宅価格等の下落が大幅に加速した。

住宅市場は、リーマン・ショック後に暫く低迷が続いた後、11年以降は漸く回復基調に入ったが、それまでの落ち込みが大きかったほか、家計のバランスシート調整に時間がかかったこともあり、回復ペースが鈍い状況が続いている。

もっとも、昨年から労働市場の回復が本格化する中で、住宅市場も足元では住宅着工や住宅販売などで好調が持続するなど、ここに来て回復ペースが加速する兆候もみられている。

本稿では、米住宅市場の動向について、米住宅市場の主要な指標の回復状況を確認するほか、今後見込まれる政策金利引上げの住宅市場への影響についても考えてみたい。