多面から支えられるウナギの養殖事業
ウナギ関連の事業を推進している企業でポピュラーなのは、日本水産 <1332> だろう。同社では、水産品や同加工品を取り扱う事業の一環として、ウナギの養殖も手掛ける。完全養殖の実現に向けた研究にも参画しており、同社の事業も今後のウナギ市場を占う上でも重要になりそうだ。
ウナギの養殖にあたってはもちろん、餌も必要となるが、そうしたウナギ用の餌を扱う企業の1社が日本配合飼料 <2056> 。同社では、しらすうなぎ用の飼料を開発し、販売も展開している。
ただ、ウナギについては、その養殖の難しさもよく指摘されている。シラスウナギとして知られる稚魚は繊細で、水質のわずかな悪化や、養殖用水槽の水の入れ換えで死んでしまうなど取り扱いが難しい。
そうしたウナギの養殖の困難の一つとして知られるのが、産卵を促す技術で、成長の過程でオスにもメスにもなるウナギに卵を産ませなければならない。その実現のためにウナギにホルモンを注射することがあり、そのホルモンを製造するのが、シスメックス <6869> だ。ちなみに、同社のホルモン製造事業は、2011年に片倉工業 <3001> から譲渡を受けたもの。
同社では、カイコを用いてさまざまなタンパク質も製造。ウナギへのホルモン注射を行うために必要な物質を作っていることから、ウナギ養殖におけるホルモン注射が必須となれば、需要増加の恩恵にあずかることもありそうだ。
もしもウナギの完全養殖が実現すれば、土用の丑の日に供されるウナギの蒲焼も、うな重も安心して食べられる体制になる可能性もある。
新規参入もみられるウナギの養殖
最近になって新たにウナギの養殖に参入してきた企業もある。JASDAQに上場しているヨンキュウ <9955> がそれだ。もともとブリやマグロなどの養殖に取り組んできており、ウナギ養殖が今後の事業の柱になれるかどうかも注目の一つといえそうだ。 ウナギの養殖に関連するこれらの事業がどにように、土用の丑の日とウナギを食べる文化を支えていくのかについても関心が尽きることはなさそうだ。(ZUU online 編集部)
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