雨宮玲於奈社長-01
(写真=株主手帳7月号)

工場で働きたい人向けの求人情報サイト「工場ワークス」を軸に、産業分野別の人材サービスで急成長しているのがインターワークス <6032> だ。昨年、東証マザーズに株式を上場。初めての通期決算発表は4期連続で増収増益を達成。今期見通しも良好で、5年連続で2桁成長が見込まれている。

同社を率いる雨宮玲於奈社長は、リクルートを飛び出し「産業特化型」ビジネスモデルに勝算を見出している。同氏に、勝算とこれからの事業展望を聞いた。

雨宮玲於奈社長
【Profile】
1975年神奈川県生まれ。法政大学経済学部卒業後、光通信を経て2003年リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)に入社。入社後、リクルートにてメディカル・ヘルスケア業界を対象とした事業開発を手掛ける。同時にグループ会社である日本医療情報センター(現リクルートメディカルキャリア)代表取締役を兼務。12年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)にて中途事業本部領域企画統括部執行役員に就任し、メディア・人材紹介ビジネスを担当。13年リクルートホールディングス国内事業統括室カンパニーパートナーに就任。同時にグループ会社であるスタッフサービス・ホールディングス取締役、リクルートスタッフィング取締役を兼務。14年1月当社副社長を経て4月から代表取締役社長に就任(現任)。


「職に貴賎なし」ならば、求人情報にも質・量ともに差があってはならない。

現在約400万人いると言われている転職者数の内、オフィスワーク系はおよそ100万人しかない。つまり、その他300万人は工場やアパレル、接客業など多岐に渡っている。だが、一般的に「求人サイト」と言えばオフィスワークを対象にしたものをイメージしがちだ。リクルート社をはじめ、各社が運営する数多の求人メディア各社は、転職市場の4分の1という狭いエリアで日夜、凌ぎを削っている。

一方のインターワークスは300万人のマーケットに向き合う数少ない企業だ。多業種・多職種を一挙に扱う「何でも来い」型の求人サイトで300万人を相手にするのではなく、産業分野別に求人サイトを運営する手法で成長を続けている。業界ライバル企業がきわめて少ない分野である。

その代表格が工場で働きたい人に特化した求人サイト「工場ワークス」だ。現在掲載されている求人件数は1万4000件(2015年6月8日現在)。最大手のリクナビNEXT(リクルートが運営)と比較すると、掲載件数はおよそ6分の1の規模だと分かる。

だが、期間工として働く労働者が多い業界事情を背景に、登録者のリピート率はおよそ4割と高く、業界に深く根付いた求人サイトとなっている。サイト運営だけではなく、求職者向けのセミナーイベントを運営するなど、独自の集客戦略、ユーザー満足度向上策を打ち出している。

2015年3月期決算は、前期比で16・9%増収。営業利益は同38・8%増と期初計画を上回って着地する絶好調ぶりだ。「工場ワークス」を含むM&S(メディア&ソリューション)事業が売上構成比で46・1%を占める。同事業の利益率は何と31・8%だ。配当は1株当たり35円で、配当性向は38・8%と高い。

業績を牽引する工場ワークスは顧客単価も掲載社数もグングン伸びている。顧客単価は前期比14・7%増の26万4000円。掲載社数は同33・3%増の384社だ。この1サイトだけで、売上高は前期比21・1%増の14億3700万円、営業利益は同42・2%増の4億5700万円を稼ぎ出している。

製造業において、国内回帰の流れが強まっており、同社にとっては良好なマーケット環境が続いている。有効求人倍率は1・15倍、新規求人倍率は1・72倍と(いずれも厚生労働省資料より)、数字がそれを示している。追い風に乗り、同社は事業拠点拡大などで対応することで業績好調を持続させており、今期の工場ワークスは前期比19・4%増収、同17%増の営業増益を計画している。