「リクルートで出来ることならリクルートがやっている」

インターワークスの前身であるビスコの設立は1991年。コンピュータシステムの開発・保守・運用を手掛ける企業としてスタートした。

2006年に当時の創業者が自社株をアミューズキャピタルに売却し、インターワークスとして再スタートした経緯がある。2007年には有料職業紹介業を開始。派遣で働く人のための求人情報サイト「派遣ネット」を運営してた。同社は以後、幾つかのM&Aを行い、業容を拡充してきた。現在の「工場ワークス」は、2007年にスタート。当初は、先行していた派遣ネットの弟分的なサイトとして始まったという。

現在、同社の社長を務める雨宮玲於奈氏は2014年にリクルートを飛び出し、同社副社長に就任。同年4月から代表取締役に着任した。雨宮社長は言う。「なぜリクルートを辞めたのか、とよく聞かれます」

前職であるリクルートエイブリック(現リクルートキャリア)で、同氏はメディカル・ヘルスケア業界を対象とした事業開発を手掛けてきた。リクルートが得意とするマス向けではなく、特定産業に特化した事業だった。

そしてヘルスケアディビジョンのトップとして活躍。2012年にはリクルートエージェント(現リクルートキャリア)の中途事業本部領域企画統括部執行役員に就任。メディア・人材紹介ビジネスを担当してきた。

翌2013年にはリクルートホールディングス国内事業統括室カンパニーパートナーに就任。同時にグループ会社であるスタッフサービス・ホールディングスの取締役、リクルートスタッフィングの取締役を兼務した。

順風満帆にも思えるが、雨宮社長は「工場ワークス」の存在を知ったことで、強くインターワークスに傾いていったという。「2012年にリクルートがホールディングス体制に移行した際、古巣のリクルートキャリアに執行役員として戻りました。その際に、オフィスワーク100万人のニーズよりも、その他300万人の潜在需要をどうやって喚起していくかに傾注して考えを巡らせていました。その時に工場ワークスの存在を知ったのです。特定の産業に絞るということは、マス戦略ではないだけに景気変動の影響リスクがそこまで大きくないという利点もあります。もちろん『工場』だけやっていたのではいけません。他の多様な専門求人情報を、業界・業種ごとに網羅していくことで、300万の雇用創出が、その助けが出来るのではないかと考えました」

雨宮社長は2014年から同社に正式合流。その勢いは加速している。


300万人の需要に対応すべく基幹システムを大規模改修済み

先行する工場ワークスに続けと、同社は続々とサービスを提供している。アパレル業界に特化した「アパレルワークス」、販売や接客の仕事を集めた「販売・接客ワークス」、日本在住の外国人『留学生』のための就職支援情報サイト「Jaboon」などだ。

他にも、人材派遣・正社員・アルバイトの求人情報を専門にした「お仕事マイサーチ」や、ネット上に掲載されている求人情報を一括で横断検索できるサービス「Waccle(わっくる)」も提供。

「業界ごとに求人メディア・サービスを行っていますが、やはりそれぞれ営業手法も異なります。例えばアパレルワークスでは、求人情報の掲載料を頂かず、成功報酬方式にしています。これは、営業する相手は本社の人事部ではなく、各店長であるところから来ています。店長裁量で求人募集は出すものですが、湯水のように掲載広告費を使う訳にはいかない。そこで、成功報酬型の広告モデルを導入しています。クライアントの意向をしっかり汲み取って自社のサービスに反映していくことで、業界に受け入れられるサイトに育っていきます」

仔細な調整と同時に、大きな展望に向かっても動いている。同社は業界特化型求人メディアを運営しているが、見据える先は300万人の巨大マーケットである。「当社は既に、基幹システムの大規模改修を終えています。300万人の需要に対応できるだけのシステムです」

各メディアで共通して使用する部分であり、今後様々な業界に特化したサービスが立ち上がっていく上で、既に基幹システムが出来上がっているのは大きなアドバンテージだ。後発企業の追随を許さない材料になる。

しかも、特筆すべきは、その基幹システムの減価償却は既に終わっているということだ。同社はシステム開発会社を前身としているだけあって、基幹システムも含めてすべて内製で対応できているのだ。

同社は「工場ワークス」の成長で注目されているが、本当の事業発展はこれからが本番なのだろう。(記事提供: 株主手帳 )

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