中小企業の「クラウド」活用はまだまだこれから

企業の発展に、人材は不可欠の要素であるのは明白で、中小企業にとってクラウドソーシングは、さまざまな専門知識やノウハウを持つ人材調達のハードルを引き下げる魅力に満ちている。ところが、中小企業がクラウドソーシングを生かし切るのはそう簡単ではないのも現状だ。

というのも、クラウドソーシングを導入するためには、発注者側にITリテラシーと発注スキルの2つが求められる。ITリテラシーとしては、メールやチャットなどのオンラインツールを使ってコミュニケーションするスキルがクラウドソーシングのプラットフォーム上で、円滑に意思疎通するために求められている。また、発注スキルと言うのは、依頼したい仕事の内容をきちんと整理し、要件を定義した上で、クラウドワーカー達に向けて発注するスキルのことだ。

ただ、実際のところ、大多数の中小企業はこうしたスキルを持った人材を抱えていない。そのことが、クラウドソーシングの利用に障害となっていることも否めない。先に掲げたクラウドソーシング協会では、そうした企業をサポートするためにプロデューサー制を設け、クラウドソーシングを利用した経営改善の提案や活用に役立てようとしている。

また、すでにこうした事情も調査で指摘されている。業務を発注したい企業と、クラウドワーカーとして業務を受注したい主婦の橋渡しをするクラウドソーシング「シュフティ」を運営する「うるる」が3月に、中小企業の管理職以上600名を対象としたインターネット調査を実施。同調査の結果によると、「クラウドソーシング」という言葉自体の認知は6割強あったものの、実際の活用は1割弱と低い水準に留まっており、人材難の救世主にはまだ、なれてはいなさそうだ。