ドコモ・栄藤執行役s
(写真=ZUU online 編集部)

さまざまな場面で「ソフトウェア化」が進んでいる。もちろん、身近にも象徴的な例をたくさん見つけられる。

その一つが通話アプリケーションのスカイプで、パソコンやスマートフォンでも使える無料通話アプリだ。同アプリには、スカイプ同士で無料で通話するほか、実際の固定電話・携帯電話に発信したり、逆に電話からの通話受信のための電話番号を設定したりすることもできる。かつては、電話という製品が担っていた機能をソフトウェアでほとんど代替できるようになっている格好だ。

ただ、スカイプによる電話の代替などは「ソフトウェア化」の全体像ではなく、さまざまなソフトウェア同士が互いに連携し、新たなバリューチェーンを形成する可能性もあるという。このバリューチェーンを再編しかねない潜在的な影響力が、「ソフトウェア化」でもたらされる本質的な変化だといえそうだ。

より大きな例を上げれば、ドイツが中心となって推進する「インダストリー4.0」も、ソフトウェア化の一つの形態だ。さまざまな機器にセンサーや通信機構を組込んで、モノ同士が通信してさまざまな計測データを生み出したり、得られたデータを分析して、さらなる効率化を図る動きとしても注目されている。

しかし、ソフトウェア化の進展する社会・産業の中では、これまでの産業とは異なる次元の発想を持つ人材が必要だという。そこで今回は、「産業のソフトウェア化」を指摘し、さまざまな先進的な取り組みを続けるNTTドコモ執行役員の栄藤稔氏に最新の動向を尋ねた。インタビューを元に「ソフトウェア化後の時代(ポスト・ソフトウェア化時代)」、あるいは今後の日本経済に必要とされる人材についての、同氏の見方をお届けする。


ポスト・ソフトウェア化時代に必要な発想とは?

栄藤執行役が、何度も繰り返して指摘するのは、ソフトウェア化の進展した環境に適した発想を持つ人材の必要性だ。ポスト・ソフトウェア化の時代には、製品・サービスの設計や製造から提供まで、すべてを自社に統合する垂直統合の発想では不足だという。他方で、製品・サービスを開発・製造の各段階で外部に発注して生産する水平分業の視点でも不十分だという。こうした2つの発想を超えた認識を持つ必要があると言えそうだ。