だとすれば、ポスト・ソフトウェア化時代に必要とされるのはどのような発想なのだろうか。栄藤氏は「垂直方向と水平方向の2つの軸で、バリューチェーンの統合を構想していく発想が必要」だと指摘。「垂直統合」あるいは「水平分業」のいずれかの1つの軸で発想するのではなく、双方を組み合わせなければならないという。

その意味を込めて同氏は「ソフトウェア化するというのは、垂直、水平の両方の軸でバリューチェーンまで設計するということだ」と強調する。

いわば「どう垂直統合するか」、もしくは「どう水平分業するか」かという、いずれか一方だけに基づいた、1次元の発想では不十分。両方を使える2次元での発想が必要になるとえそうだ。


日系企業にまず必要な「ソフトの内製化」

ただ、IT化やソフトウェアビジネスで、日本勢がこれまで遅れをとってきたのも事実だ。検索エンジンや広告ではグーグルが「巨人」ともいえる存在感を示す。パソコンの基本ソフト(OS)でもウィンドウズとマッキントッシュが強固な基盤を築いている上に、Eコマース分野でもアマゾンなど米IT企業が主流で、現状は厳しいといわなければならない。

同氏によれば、IT分野で先行する米国の特徴にソフトウェアの開発は、基本的には社内で行われていると現状があるとのこと。自社で開発できない部分については、開発を社外に委託するものの、基本的には、インハウスの(内製化された)開発だという。

同氏は「ソフトウェアを内製化できていれば、『ソフトウェア化』の進展によって、自社がどのように最適化されるか、垂直と水平の2軸での発想ができる」と続ける。