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(写真=PIXTA)


景気の現状判断DI:改善基調に一服感

景気の現状判断

8月10日に内閣府から公表された15年7月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状判断DIは51.6となり、前月を0.6ポイント上回った。参考系列として公表されている季節調整値は49.3と前月を▲0.4ポイント下回った。

原数値は前月から上昇したものの、季節調整値が5月をピークに2ヵ月連続で低下するなど景況感の改善基調に陰りも見え始めている。ただし、DIは高い水準を維持しているため、悲観的に捉える必要はないだろう。

個人消費の低迷が続いているが、夏のボーナスやプレミアム付商品券が消費の後押しとなったほか、引き続き株高による消費者マインドの改善やインバウンド消費の増加も景況感の押し上げに寄与したとみられる。一方、材料価格の高騰を懸念する声もあり、一部業種では円安が景況感の悪化要因になっている点には注意が必要だ。


夏のボーナス、猛暑による特需が改善に寄与

現状判断DIの内訳をみると、家計動向関連が前月差0.4ポイント、企業動向関連が同1.1ポイント、雇用関連が同1.0ポイントとなった。家計動向関連は、小売を中心に景況感の改善が続いている。

コメントをみると、「プレミアム付商品券の利用スタートから現在まで、売上、来客数共に増加傾向にある」などプレミアム付商品券による消費押し上げを挙げるコメントが多くみられたほか、「連日、真夏日となり、夏物商品、特にエアコンの販売が伸びている」(北陸・家電量販店)といったように、猛暑によって消費が押し上げた面も大きかったようだ。

また、「夏のセール開始時期が前年は6月後半であったのに対し、今年は7月1日からになったので、7月前半の売上高は前年を超えている」(南関東・百貨店)といったコメントのように、百貨店が夏のセールの開始時期を相次いで遅らせたことも7月の景況感を押し上げたとみられる。

一方、円安の影響については、「客と話すと、収入が増えた人でも物価上昇分には追い付いていない状況である。当店で使う金にも節約する傾向を感じる」(中国・美容室)など物価上昇による購買力の低下を懸念する声も依然多い。

企業動向関連は、製造業(前月差1.2ポイント)、非製造業(同1.0ポイント)ともに前月から改善した。「2020年の東京オリンピック開催に加えて、株価上昇や外国人観光客の増加に伴う好景気を受けて、首都圏を中心に受注成約が増している」(北海道・家具製造業)など、株高やインバウンド消費の増加を挙げる声が目立つ。

一方、「中国経済の減速等の影響により、景気は全体的な盛り上がりに欠けている。取引先は増産計画から一転して、減産に転じている」(中国・化学工業)といったように、中国経済の先行きを懸念する声が出ている。

雇用関連は、小幅ながら2ヵ月ぶりに改善した。「主要産業のうち、建設業、製造業、卸・小売業、医療・福祉では、求人数が2ヵ月連続で前年同月を上回り、持ち直している」(東海・職業安定所)、「学卒求人が増加しており、企業の採用意欲の高まりが表れている」(北関東・職業安定所)など、企業の採用意欲が衰えていないことを示唆するコメントが多くみられた。

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