先行きは小幅に悪化

先行き判断DIは51.9と前月から▲1.6ポイント低下した。参考系列として公表されている季節調整値は51.1と前月から▲0.9ポイントの低下となった。先行き判断DIの内訳をみると、家計動向関連が前月差▲1.6ポイント、企業動向関連が同▲2.0ポイント、雇用関連が同▲0.6ポイントとなった。

景気の先行き判断DI

家計動向関連は、「当地域のプレミアム付商品券の利用は10月までである。その後は、各メーカー商品の値上げも続いており、景気の先行きは現状よりはやや後退するものとみている」(東北・スーパー)、「プレミアム付商品券の使用期間が終われば、消費は落ちることになる」(北海道・タクシー運転手)といったように、プレミアム付商品券による消費押し上げ効果が弱まると懸念するコメントもみられた。

企業動向関連は、「北陸新幹線の影響などでサービス業関係の人材が不足しているが、製造業としては円安により原料の単価が上がり価格にも影響が出てきており、個人消費はこれからますます悪くなるように感じられる」(北陸・輸送業)など、引き続き円安を懸念する声が目立つ。

一方、「お盆も控えており、秋の運動会、行楽シーズンも続く。また、引き続きクルーズ船の入港などもあり、消費の拡大が期待できる」(沖縄・食料品製造業)といったように、大型連休などを通じた消費押し上げ効果が景況感を押し上げるとの期待感も一部の業種で高まっている。

雇用関連は、「各産業では人手不足感がある。仕事を探す人は減少傾向といった状況が続いている。全体的にこう着状態となっており、動きに変化生じ難い状況となっている」(北陸・職業安定所)など、人手不足が先行きの懸念材料として挙げられている。

消費増税の影響が一巡する中、株高による資産効果やインバウンド効果が景況感の改善を後押している。先行きについては、こうした押し上げ効果が下支えとなることから、景況感の改善基調は維持されよう。

ただし、前述のとおりプレミアム付商品券による消費押し上げ効果が弱まるとの懸念がみられるなど気がかりな点もある。また、円安を懸念する声も高まっており、一段の円安はマインドを悪化させる可能性があるだろう。

岡圭佑
ニッセイ基礎研究所 経済研究部

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